【ボルボ XC60 B6 Rデザイン 新型試乗】プレミアムなミドルSUVの有力候補に躍り出た…南陽一浩

ちょっとした下克上のB6

Rデザインのアピアランスに驚かされた

プレミアムなミドルSUVの有力候補に躍り出た

ちょっとした下克上のB6

夏から登場した「B5」に続いて、第2弾となる48VのMHEVパワートレイン「B6」を、2021年のモデルイヤーの『XC60』、しかもRデザインで追加登場させたボルボ。スペックを見る限り、エンジン出力とトルクがB5の250ps・350Nmに対し、B6は300ps・420Nmと、けっこうな差で上回る。

前者はターボチャージャーのみだが、B6にはターボに加えて電動スーパーチャージャーが組み合わされているのだ。ISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モーター)の最大出力10kWは、共通だ。

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とはいえXC60のT8、つまりPHEVゆえにEVモードの出足で電気モーターのトルクはモリモリのはずの上位機種でも、318psと出力こそ上回るがトルクは400Nm/2200-5400rpm。僅かな違いとはいえ、B6の420Nm/2100-4800rpmはちょっとした下克上でもある。

Rデザインのアピアランスに驚かされた

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さらに実車を目の前にして仰天させられるのが、Rデザインならではのアピアランス。とくにタイヤ&ホイールのチョイスだ。B5インスクリプションが235/55R19に7.5J、T8リチャージPHEVが最大でも255/45R20に8Jだったのに対し、255/40R21に8.5Jというワイド扁平ぶり。よりワイド感を強調するデザインの前後バンパーに、サイドウィンドウのモールからルーフレールまで、すべてクロームではなくブラックという、Rデザインならではの迫力ある精悍な仕上げが、色々と角度を変えて眺めているとジワジワと来る。

インテリアに目を移すと、サポート部はレザーで、身体が常時触れる背面と座面はメッシュファブリックというスポーツシート、さらにアルミニウムのペダルとパネルが、アクセントとして効いている。またMY2021モデルの進化ポイントとして、センタコンソールにCI規格が入り、対応スマホならワイヤレス充電が可能になった。

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他にも試乗車がオプション装着していたバウアー&ウィルキンスのオーディオシステムが、スピーカー素材をケブラーからコンティニュアスコーンに変更し、音の感触がクリアさはそのままに、全体として柔らかくなったように感じた。音響パラメーターにも、ボルボの地元イエテボリのコンサートホールに加え、ジャズクラブの音場を再現する「ジャズクラブ モード」が追加。非コンベンショナルな領域で楽しみ方の幅を広げるところは、ボルボらしい。

プレミアムなミドルSUVの有力候補に躍り出た

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元よりXC60は静粛性とフットワークのバランスがいいのだが、B6のRデザインは輪をかけるように、足まわりと乗り心地がいい。Rデザイン専用セッティングの脚は、非エアサス仕様で減衰力固定ながら、低速域からワインディングまでおそろしくしなやかに動き、それでいてよく曲がる。Rデザインというと、それなりに固めた脚のイメージがあったのだが、今回のXC60 B6 AWD Rデザインの脚にはドライバーを迎え入れるような包容力すらある。

当然、B5との動的質感の違いはパワートレインにも及び、直ちに感じられる。B5があくまで電気への架け橋を担う、高性能で時には存在感さえ消せる直4であるのに対し、B6のフィールは良質の多気筒エンジン的といえる。静かだが、ひと昔前のV6のようにトルクフルかつスムーズ。パワー感はそうでも、実際は直4なのでノーズは軽く回頭性がいいし、B5同様に気筒休止機構すら備えるので、今回は試さなかったが高速巡航では静粛エクスプレスにもなるだろう。

直4とV6の中間…で思い出した、そういえばボルボは昔、直4以上のパワーと直4並の鼻先の軽さを狙って、直5を得意としていた。XC60という今日のボルボのグローバル・ベストセラーのニューモデルでありながら、XC60 B6 AWD Rデザインは、じつは昔の技術的アプローチや古いファンを忘れていない、そんなアピールとも思える仕上がりだった。

ギリギリ800万円を切る車両本体価格といい、メルセデス『GLC』やBMW『X3』を向こうに回しても、プレミアムなミドルSUVの有力候補に躍り出たといえる。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

南陽一浩|モータージャーナリスト
1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

《南陽一浩》
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