中国で始まる4G-V2Xアプリケーション…日本でV2X連携が遅れる理由

アルプスアルパインが中国向けC-V2Xチップを発表
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  • UMCC1の評価キット
  • チップ内ブロック図

28日、アルプスアルパインがセルラーV2Xオールインワンモジュール「UMCC1」を発表した。UMCC1はLTE通信とV2XのRF部・プロトコルスタックを同一パッケージに収めたチップで、主に中国市場に向けた製品で日本向けではない。

CASE車両のうち、コネクテッドや自動運転では今後重要とされる最新のV2Xのモジュールがまずは中国市場に投入される。その理由はなんだろうか。

理由を説明する前に簡単にV2Xや車載通信モジュールについて簡単におさらいしておこう。V2Xは「Vehicle to X」の意味で「X」の部分は、車両(V2V)、信号機やITSスポットのような道路インフラ(V2I)、歩行者(V2P)、モバイル網やインターネットなどのネットワーク(V2N)が想定されている。V2Xどうしが直接通信することで、交差点の事故を減らしたり、渋滞を回避したり、遠距離道路情報を共有したり、といった応用(アプリケーション)が考えらている。車両どうしが通信、あるいは歩行者や自転車と車両が通信できれば、見通しのきかない交差点やカーブで、見えない相手を認識・予測した動き(事故回避)が可能になる。信号機と通信できれば青のタイミングを計って走行したり、高度な自動運転制御が可能になる。

国内では、ITSスポットと呼ばれるインフラとの通信が実用化されているが、高度な自動運転やアクティブな事故回避アプリケーションの実装はこれからだ。通信方式もDSRCと呼ばれるものを利用し、ETC2.0やITSスポットとの比較的近距離での通信がメインで、モバイル網など上位ネットワークとはつながっていない。もともとV2V、V2I、V2Pが、デバイス同士の直接通信を前提とした技術だ。モバイル網やインターネットとの通信は、DCMのような車載通信モジュールが、IVIやカーナビ、OEM等のサービスクラウドに接続するものとして、DCMとV2Xは独立したコンポーネントとして成立している。

しかし、高度な自動運転を実現するには、GPS、ECU、通信モジュール、V2Xが統合的に連携動作させることが要件となってくる。ADAS領域の運転支援システムならブレーキやハンドルなど個別制御で十分だが、レベル4、レベル5の自動運転となるとそうはいかない。カメラなど車載センサーの情報だけで、平均的な都会の交差点で自動運転の右折は危険といってもいい。

UMCC1は、このようなニーズを想定して開発されたモジュールだといえる。既存のV2Xチップに4GによるV2Nに対応する機能を組み込んでいる。チップのRF部はV2X(中国向けの5.9GHz)の送受信に対応する。内部にアプリケーションプロセッサを持ちV2Xプロトコルスタックを経由してGPSやモバイル網(セルラー網)と連携可能だ。OEMやTire1サプライヤーは、UMCC1を使うことで既存のIVIコンポーネント・テレマティクス制御ユニット(TCU)にV2Xレイヤを組み込みやすい。アンテナ入力は2系統あり、ひとつはトランシーバーとして送受信可能だが、もう1系統は受信専用でダイバシティ化を実現している。

アルプスアルパインではすでに量産体制に入っており、2021年1月には月産20万個が可能だという。開発は国内技術本部が行ったが、生産は中国大連工場が担う。中国市場からの投入となるのは、2021年に3GPP リリース14(PC5 mode3)に準拠した4GベースのセルラーV2Xサービスが実際に始まるからだ。世界に先駆けてのサービスインとなる予定だ。中国では、国策として自動車産業を振興しており、21年冬季オリンピックにあわせたデモンストレーションの意味もあるようだ。

3GPP リリース14を意識した類似のチップセットは存在するが、アプリケーションプロセッサやプロトコルスタックを一体化させTCUやロードサイドユニット(RSU)などとの相互接続性を考慮したチップは現時点では存在しないと思われる。また、アルプスアルパインは、中国国内のスマートシティ関連の実証実験にも参加し、実績を積んでいる。

対して、欧米や日本のセルラーV2Xの取り組みはどうなっているのだろうか。中国は、産業振興とインフラ整備の国策で4G(LTE)の段階でセルラーV2Xの社会実装を開始する。しかし、中国以外の主だった市場は、4Gの周波数帯や国ごとの規制の違いからRF部の共通化が難しいため、セルラーV2Xは5Gでの整備・普及をにらんでいるといわれている。

《中尾真二》

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