【マツダ CX-30 新型試乗】新世代商品群が目指すべき行方とは…御堀直嗣

オーナーが一緒に暮らせる「アート」

新世代商品群の目指すべき行方

次への転換が求められている

マツダCX-30
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オーナーが一緒に暮らせる「アート」

2012年の『CX-5』からはじまったマツダの新世代商品群におけるSUV(スポーツ多目的車)は、『CX-3』、『CX-8』と車種を広げ、さらに新しく登場したのが『CX-30』だ。車体寸法は、CX-3とCX-5との中間に位置する。

CX-30は、『マツダ3』に続く新たな新世代商品群の第2弾とされ、魂動デザインも次の段階へ進んでいるという。カーデザインをアートへという道筋をいっそう前進させ、オーナーが一緒に暮らせるアートであるとデザイナーは語った。


車高はCX‐3と比べわずか1cm低いだけだが、Dピラーを寝かせ、車体下部の黒の樹脂部分に厚みを持たせることで、のびやかな造形としている。

マツダ3を含め、格好いいとの高い評判を耳にするが、個人的にはデザイナーの思いが先走りしているような印象だ。

新世代商品群の目指すべき行方


たとえば車幅感覚がつかみにくく、またルームミラーに映るリアウィンドウが小さく感じ、それは、『マツダ3』を含め、リアウィンドウが後部ピラーへ余り回り込まない造形によって、ルームミラーにクォーターウィンドウが映らないうえ、クォーターウィンドウから差し込む日差しによる陰影の変化さえも隠してしまうため、ルームミラーに映るリアウィンドウ以外の部分が暗く閉鎖的で、車両後方の気配を殺している。

マツダのクルマ作りは、2012年からの新世代商品群のCX-5以降、SKYACTIVの各技術や、正しい運転姿勢、運転者の意思に忠実に走る操縦安定性、そして人の心を動かす魂動デザインと、革新をもたらしてきた。その走行感覚の良さはCX-30にも継承されている。だが、造形を含め次の新世代商品群としてのマツダ3以降は、目指すべき行方を見失っている気がする。

次への転換が求められている

技術面では、世界的にディーゼルエンジンは尿素SCRを使うことで排ガス浄化と動力性能の向上を両立させているが、マツダはまだ採用せず、SKYACTIV‐Dをそのまま進化させる開発を続けている。しかしCX-30の1.8リットル・ターボディーゼルエンジンは動力性能に不足を覚えさせる側面があり、NOx対策のため出力を上げられずにいるようだ。

革新を起こした2012年の新世代商品群の成功が、早くもそれを守ろうと保守的になって身動きとれない様子だ。それはSKYACTIV‐X導入の遅れにも表れているのではないだろうか。


一つの革新としてのSKYACTIVエンジンがひと段落した後、電動化への切り替えの遅れが限界を見せだしたようにも思える。魂動デザインにしても、アートを目指すのではなく、あくまで機能美を追求するのが工業デザインのあるべき姿ではないだろうか。

マツダ3以降の現在の新世代商品群が成功を収めるには、次への転換がなければならないのだと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★

御堀直嗣|フリーランス・ライター
玉川大学工学部卒業。1988~89年FL500参戦。90~91年FJ1600参戦(優勝1回)。94年からフリーランスライターとなる。著書は、『知らなきゃヤバイ!電気自動車は市場をつくれるか』『ハイブリッドカーのしくみがよくわかる本』『電気自動車は日本を救う』『クルマはなぜ走るのか』『電気自動車が加速する!』『クルマ創りの挑戦者たち』『メルセデスの魂』『未来カー・新型プリウス』『高性能タイヤ理論』『図解エコフレンドリーカー』『燃料電池のすべてが面白いほどわかる本』『ホンダトップトークス』『快走・電気自動車レーシング』『タイヤの科学』『ホンダF1エンジン・究極を目指して』『ポルシェへの頂上作戦・高性能タイヤ開発ストーリー』など20冊。

《御堀直嗣》

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