塗装名人が語る、ホンダのオートバイレース史 当時の目線でエピソード多数

塗装名人が語る、ホンダのオートバイレース史 当時の目線でエピソード多数
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『ホンダオートバイレース史』
浅間レースからマン島TTまで
著者:中沖満
発行:三樹書房
定価:本体価格2400円(消費税除き)
ISBN978-4-89522-704-9

通称「浅間火山レース」、正式名称を全日本オートバイ耐久ロードレースと呼ばれるレースが1955年に開催され、ホンダはそこに参戦。そして、その4年後の1959年には世界グランプリに初出場した。本書はその歴史に着目し、関係者のインタビューを交えながら当時の雰囲気を如実に伝える一冊である。

初出場にして上位完走を成し遂げ、チーム賞を獲得。このレース活動が、現在まで続くホンダのレース活躍の原点となっている。本書では、レース参戦時の写真をはじめ、創業者、本田宗一郎のレースへの意気込みが掲載された当時の「ホンダ社報」など、貴重な資料を多数収録して解説されている。

ここで著者について触れておきたい。浅間ミーティングクラブの初代理事を務めた中沖満氏。実は“わたびき自動車”という自動車の板金工房の職人だった。そこはいまでいう“超”高級車やクラシックカーが数多く入庫するところで、中沖氏は名人として広く自動車業界に知られた人だった。その一方、二輪車も少年時代から親しんでいたことから、自らの腕を生かし、カフェレーサー風の改造を行ったりしていた。1985年に現場引退後は文筆業に力を入れ、様々な著書を残している。

本書は、関係者への取材を続けてきた著者が語るホンダのオートバイレース史であり、また、その時代を生きた人だからこそわかる、当時の雰囲気を如実に伝えてくる魅力にあふれている。

本書はスポークホイール(エヌ・エヌ出版)に連載された『松明をかかげて』を新たに構成なども大幅に見直し、再編集してまとめられたものである。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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