アウディジャパン、近い将来4万台を目指す「今年はスタート地点」…ノアック社長[インタビュー]

WLTCの影響で販売台数減

A6からe-tronまで新車攻勢多数

2019年は新規2店舗オープン、110億円の投資

日本とドイツの共通点は多数

アウディジャパン代表取締役社長のフィリップ・ノアック氏
  • アウディジャパン代表取締役社長のフィリップ・ノアック氏
  • アウディ RS4アバント
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アウディジャパンは『A4』シリーズのトップモデルに位置する『RS4アバント』をフルモデルチェンジし発表。同時に2018年に振り返りと2019年の展望が語られた。

WLTCの影響で販売台数減

2018年、アウディはグローバルで約181万2500台を販売。ここ数年間は継続的に成長してきたが、2018年は約3.5%のマイナスとなった。この大きな理由は、「WLTPという新しい試験サイクルへの切り替えによるもの。特にヨーロッパでは生産関係で大幅な変更が余儀なくされ、様々な市場への商品供給に遅れが生じたのだ」と説明するのは、昨年9月にアウディジャパン代表取締役社長に就任したフィリップ・ノアック氏だ。

その影響を一番受けたのがヨーロッパだったが、一方で「中国は継続的に成長している」とノアック氏。11%と2桁成長を続けており、この主な要因は「『A3』と『A4ロングホイールベース』という現地生産のモデルが中国市場にマッチしたことから、大きく台数に貢献した」と解説する。

さて、2018年日本の実績は、2万6473台と対前年6.5%マイナスになった。この理由も前述の通りWLTPへの対応によるもので、「年央頃までは前年を上回るペースで推移していたのだが、必要な生産台数を確保することができず台数を落としてしまった」と無念さを滲ませた。しかし、アウディA.G.のグローバル市場ランキングでは10位につけることができており、その点は評価した。

近年アウディジャパンで力を入れているアウディスポーツに関しては、その成果が表れており、「昨年は1,017台を販売。これは『RS3セダン/スポーツバック』と『RS5クーペ』が大きく貢献し、アジア最大のアウディスポーツ市場となった」とコメントする。

認定中古車のアウディAAAも、「6年前の6000台規模から昨年は過去最高の1万2650台を記録。この事業はアウディジャパンとしての成功の重要な柱となるので、今後も強化していく。新車を販売するためにはきちんと中古車を販売することがカギになるからだ」と述べた。

A6からe-tronまで新車攻勢多数

2019年の商品攻勢についてノアック氏は、「『A6』を第2四半期に、『Q8』を第3四半期に投入する。さらに『A1』、『e-tron』、『TT』も導入することで、新しい販売記録を狙っていきたい」と計画を明らかにした。

2019年の最初の新型車は今回発表されたRS4アバントだ。搭載されるエンジンは3リットルV6ツインターボエンジンで、450馬力のパワーと先代モデルを170Nm上回る600Nmという分厚いトルクを生み出している。わずか4.1秒で100km / hまで加速する。

続いてクリーンディーゼルのTDIも導入。最初は『Q5』だ。「クワトロとの組み合わせで、雪道などでも安心して乗ることができる」とノアック氏。190psのパワーと400Nmのトルクを生むフルタイム4WDと、Sトロニックが組み合わされる。アウディジャパンとしては初のクリーンディーゼルとなり、「この市場にはまだまだポテンシャルがあると信じている」と台数への期待を滲ませた。

2019年は新規2店舗オープン、110億円の投資

商品攻勢以外にアウディジャパンが力を入れているのがネットワーク戦略だ。「2018年は18億円の投資を行い、今年も110億円を投資し、2店舗を新規オープンするとともに、10店舗以上の拠点で改修・改装を予定している」と話す。同時に、「AAAセンターも拠点を拡充する。中古車の需要はこのマーケットにはまだある」とした。

また、拠点においては、各種トレーニングの強化も挙げられた。「これだけのたくさんの商品を導入するので、商品とともに、テクニカルサービス、そして重要な接客トレーニングを拡充していく。日本は非常にお客様の要求が高いマーケットだ。そのお客様のクオリティに応えるためのトレーニング強化だ」という。また、ノアック氏はこういった教育をもとに、「お客様と長きにわたる関係を築き、ロイヤリティを挙げることが欠かせない。お客様を失うことだけは避けたい」とコメントした。

そのほか、デジタル化の強化として、購入プロセスや、アフターサービスに関するオーナーシップエクスペリエンスを充実させていくことや、新しいモビリティサービスであるアウディオンデマンドもさらに強化が図られるという。

ノアック氏は「こういった取り組みによって数年以内に3万台の大台に再び乗せることができると考えている。そして4万台を将来的には狙っていきたい。2019年はそのスタート地点と捉え、色々と変革を起こしていく」とコメントした。

日本とドイツの共通点は多数

さて、ノアック氏は日本に就任して約半年が過ぎようとしている。そこで、日本の印象を尋ねてみると、「優しくてフレンドリー。国としても安全でインフラ面を含めたテクノロジーがすごく進んでいる」と述べ、「たくさんの電車が毎日時間通りに発着するのは素晴らしい。ドイツでは電車が時間通りに来るというのが大変なことなのに」と驚きの表情だ。

また、「ハイパフォーマンスなクルマが好きであり、人とはちょっと違うクルマに乗りたいという意識はドイツと共通。また市場自体が成熟している点も共通項だ」とコメントした。

日本就任に関しては、「家族や主に妻と相談したが、私自身日本に何度か来たことがあるのでほぼ即決だった。トップ10に入る市場の国の社長を務めるというのはとても名誉なことだ」という。

ノアック氏は、アウディジャパン就任前は、ベントレーでヨーロッパのセールス統括をしており、それ以前はアウディのディーラーを経営していた。ベントレーとアウディとではビジネスの捉え方がかなり違うようにも思うが、「確かに厳しくもあるが、チャレンジングでもある。その上やりがいもあり楽しい。日々日本の色々な面からインスピレーションを得ている。例えば接客の仕方一つにしても大いに得ることが大きい」と日本の印象を語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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