トラックが無人で搬入・荷台の脱着、自動運転と電動化技術で効率化を提案…ZFテクノロジー・デイ2018

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テクノロジーデイ2018で披露されたZFイノベーション・トラック2018(左)とターミナルヤードトラクタ
  • テクノロジーデイ2018で披露されたZFイノベーション・トラック2018(左)とターミナルヤードトラクタ
  • 正確なドック付けのあと車高を下げて荷台を切り離すイノベーション・トラック2018
  • エアサスのベローズ内圧を高めて車高を上げて敷地内を移動中のイノベーション・トラック。無人で運転されている
  • 後々軸がリフトしているのは空荷のため。4本のアウトリガは水平にして格納する。
  • ZFの12段AMT、TraXONのハイブリッドモジュール付き。クラッチの下流側にモーターを配する。右はオプションの流体式リターダ
  • 油圧式パワーステアリングのギアボックス入力部に電動モーターを搭載したReAX。上側がステアリングシャフト、下部の手前がタイロッドに繋がる
  • 無人運転化されたTERBERG製ターミナルヤードトラクタ。後退してトレーラをつなぎに行くところ。前後左右にセンサー類を備える。
  • カプラをリフトしてアウトリガを浮かせ、トレーラを移動させるターミナルヤードトラクタ。地面の白い十字がRFIDの埋め込まれているポイント
自動車関連部品大手のZFはドイツ、フリードリヒスハーフェンの本社内で同社の商用車関連の最新技術を披露する「ZFテクノロジー・デイ2018」を開催した。同イベントは9月にハノーファーで開かれるIAA国際商用車ショーのプレビュー的な位置づけ。今回は自動運転と電動化技術を主軸に物流の効率向上をもたらす提案が盛りだくさんだった。

最も注目を集めたのは無人運転でスワップボディの運搬/脱着を行う「ZFイノベーション・トラック2018」と同じくターミナル内でトレーラを運ぶ「ターミナルヤードトラクタ」。イノベーション・トラックは同社の最新技術を凝縮した習作で、隔年開催のIAAに合わせてこれまでにもタブレット操作で車両の方向を指示するだけでステアリングを自動で操向させて(低速での)前進後退を行うダブルストレーラや、これをベースに車両/施設双方のセンサーによって正確な位置検出を行い自動でプラットホーム付けを行うセミトレーラなどを発表していた。

今回の車両はさらに一歩進んでヤード内での無人運転を可能としたもの。指示されたドックシェルター(倉庫の密着型搬入口)へEV走行で向かい、所定位置に駐車したのち脱着式の荷台を切り離して移動、別の場所で別の荷台を装着するといったヤード内での一連の作業を完全自動化した。アウトリガ(脚)で自立する荷台部分をエアサスペンションの車高調整機能を使って着脱するスワップボディはすでに普及しているが、センシングと制御技術を組み合わせて荷役作業まで自動化したのはこれが初めてだ。

具体的にはシャシーはダフの大型トラック「XF」の総輪エアサス仕様3軸車。ZF製の新世代12段AMT(自動化されたマニュアルギアボックス)「TraXon」にEV走行が可能なハイブリッドモジュールを組み合わせ、ステアリングには油圧式パワーステアリングギアボックスに装着した電動モーターで自動操舵を行う「ReAX」を装着。ブレーキは既存のEBS(フライバイワイヤの電子制御ブレーキ)を利用して自動運転を成立させている。センサー類はGPSやミリ波レーダー+カメラはもちろんレーザーレーダーによるライダーも装備。またヤード内の駐車ポイントには正確な位置が検出出来るようRFIDのチップを埋め込んでいる。

車両はLTE通信を通じて施設側から遠隔操作する仕組み。公道ではなくヤード敷地内を前提として無人運転を実現したのがポイントだ。ドライバーはヤードの入り口でクルマを降り、車高を上げてアウトリガを出して荷台/シャシー間のツイストロックを解除したらトラックが自動運転でヤード内に入って行く。あとは別の荷台を載せて出てくるのを待つだけだ(スワップボディの搭載作業はボディの真下にシャシーを正確に誘導する必要があり手動運転には熟練が必要)。

エンジンを停止させてのEV走行中、パワーステアリング用の油圧は電動ポンプによって賄われるがサービスブレーキやエアサス用の圧搾空気を作るコンプレッサは電動化されていないのでエアタンクの内圧が下がると自動的にエンジンが始動する。なお、ハイブリッドモジュールの電動機出力は120kW。約10kmのEV走行が可能という。

ターミナルヤードトラクタはイノベーション・トラックと同じく自動運転のための制御機器とセンサー類を備え、ヤード内でセミトレーラを無人で脱着~所定の位置に移動させる。ベース車両はTERBERGの「YT185」型構内用セミトラクタ(ディーゼルエンジン+アリソン製トルコンAT)。効率良くトレーラを脱着して運ぶために遠隔操作でキングピンをロック/リリースさせる第5輪のジョー開閉機構と油圧式で上下するリフトカプラ(第5輪)を備える。セミトレーラを連結したらカプラ高を上げることでアウトリガを伸ばしたままで移動出来る(トレーラ用のエア、電気は未結線でも公道外なら動かすことは可能)。この機構を利用してトレーラを自動で脱着し、構内のRFIDを埋め込んだ所定の位置に正確にトレーラを運ぶ。連結する際のキングピンに対するカプラ位置の調整(トラクタの誘導)ももちろん自動で行われる。ドライバーの省力化や安全性向上とともに倉庫や工場にとっては部品の適時納入を促進する効果も。ZFではこれらと併せて電子タグやリーダーを使った管理システムによる物流の高品位・高効率化の提案も行っており、自動制御・センシング技術は相乗的なメリットをもたらしそうだ。

このほかレベル4の自動運転機能を備えたEVの配送車「イノベーション・バン」もデモ走行を行った。フィアットのGVW3・5t級小型バン「デュカート」ベースの同車はZFの最新電動ドライブパッケージ「CeTrax lite」(最大出力150kW、最大トルク380Nm)によってEV化され、カメラ、レーダー、ライダーのセンサーを装備。タブレットによるリモートコントロールが可能で徒歩で配送中のドライバーについて微速で移動したり、自動で駐車場所を見つけ出して待機する機能を持つ。
《多賀まりお》

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