東芝インフラシステムズ、双日および伯カンパニア・ブラジレイラ・メタルジア・イ・ミネラソン社(CBMM)の3社は6月19日、ニオブチタン系酸化物(NTO)を用いたリチウムイオン電池向け負極材の共同開発契約を締結したことを発表した。
東芝インフラシステムズは、負極材に急速充電性能、長寿命、安全性に優れるチタン酸リチウムを採用したリチウムイオン電池SCiBを2008年から製品化。その後もエネルギー密度を高める開発を続け、昨年、NTOを負極材に用いた、高容量次世代リチウムイオン電池(次世代SCiB)の試作に成功した。NTO負極はリチウムイオン電池の負極材として一般的に使用される黒鉛と比較して、2倍の素子エネルギー密度を発揮する。
ニオブ(Nb)は金属元素の一つで、鉄鋼添加剤として主に高張力鋼、ステンレス鋼などの高級鋼材に用いられる。CBMMは、ニオブ市場で世界1位の生産量と販売量を誇り、高い技術力と製品開発プログラムを持つ。双日は、CBMMの株主の1社で、CBMMの日本市場向けの総代理店として、安定的な原料供給体制の構築や用途開拓を進めてきた知見・ノウハウを持つ。
今回の共同開発契約を締結により、3社は電気自動車(EV)用途等に適した高エネルギー密度でかつ急速充電が可能な次世代リチウムイオン電池の材料の開発に取り組む。具体的には、CBMMと双日が提供する五酸化ニオブを用いて、東芝インフラシステムズはNTOの電極製作および性能評価を行い、安価で品質の安定した仕様の確立を目指す。また同時に材料サプライチェーンを構築し、2020年度の次世代SCiBの量産化を進めていく。