日野、スイッチで緊急停止できるドライバー異常時対応システムを開発…大型車での操舵支援により隊列走行も披露

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プラットフォーム正着制御の自動運転中
  • プラットフォーム正着制御の自動運転中
  • プラットフォーム正着制御によってプラットフォームに横付けされた路線バス
  • プラットフォームとの隙間はこの通り。ドライバーが気を使わずともピタリと止められた。
  • 路面に描かれた2本線をカメラで認識して、自動走行する。
  • 操舵支援はコラムに追加されたアクチュエーター。コラム式EPSの大型版といった印象だ。
  • EDSSの非常ブレーキボタンを操作する乗客のイメージ
  • 客席前端上部に備えられた非常ブレーキスイッチ
  • ダッシュボードに備わる非常ブレーキ。こちらはドライバー本人か、バスガイドが操作する。
5月21日、日野自動車は羽村工場において安全・自動運転技術説明会を報道機関向けに行った。まず「交通事故死傷者ゼロ」に向けた車両側の安全技術、現在開発中の自動運転技術について説明した。

続いて既に導入されているPCS(衝突被害軽減ブレーキ)を搭載した大型観光バス、日野『セレガ』に同乗し、50km/hでドライバーがアクセルを踏んだまま、前方の停止車両に接近し、自動停止するデモを披露。警告後に2段階で急制動がかかり、結構な減速Gで前方のクルマにぶつかることなく停止することを確認できた。

次に今夏にセレガに導入されるドライバー異常事対応システム(EDSS=Emergency Driving Stop System)について、同乗して緊急停止を体験した。これはドライバーの健康状態が急変などした際、ダッシュボードか客席最前列上部の非常ブレーキスイッチを押すと、制動しながらブレーキランプ、ハザード、ホーンを作動させ、周囲に注意を促しながら停止する、というもの。客席側のスイッチは誤操作した際に備えて、ドライバーがキャンセルできるようボタンを押してから3.2秒後に作動するようになっている。

同乗し、非常停止ボタンを押されて作動した状態は、PCSほどの急制動ではなく、車体を安定させたままスムーズに停止する。車内にもランプが点滅し、結構な音量のホーンが響く様は、なかなか迫力があった。

そして自動運転技術の一つである隊列走行のうち、ドライバーが監視した状態で自動追従を行う発展型の後続有人隊列走行を観光バスで並走して見学する。

前走車がテストコース上で待機する中、後続車両は工場敷地内ではGPSルート誘導によって、走行路へと入る。そして車線を認識すると自動運転は車線内走行へ移行し、前走車に追い付くとカメラで認識して追従走行に入った。加速減速は前走車との車間距離だけでなく、ITSにより前走車の加減速情報を受け取って判断するCACCとなっているため、ACCよりも遅れの少ない加減速を実現しているそうだ。コーナーも操舵制御によりそのまま追従していく。基準としているのは前走車の後端部中心で、そこをカメラで見て、そこにあわせて追従していくらしい。
レーンチェンジもITSを併用し、前走車の動きを見て連動して車線を移動していく。

ただし2台での隊列では効果が薄く、3台での隊列となった際には全体で70~80mにも達することから、高速道路上で前走車に追従する形でのレーンチェンジは非現実的だ。それを日野自動車技術研究所の小林こずえ主管に尋ねたところ、この日披露したのは「かるがも走行」と呼ばれるパターンで、これ以外に同時にレーンチェンジを行う「シンクロ走行」や、タイミングを見て1台ずつレーンチェンジを行う方法もあり、自動運転技術の熟成や法整備が伴えば後続車両からレーンチェンジを始めるパターンも実現できると言う。これらは一部をいすゞ自動車と共同開発しているそうだ。

最後に路線バスのバス停へのアプローチを自動運転とすることでドライバーの運転操作を支援する、プラットフォーム正着制御のデモも見学した。これは路面上の2本線の誘導線をカメラで認識し、自動操舵と自動減速により、非常に高い精度でプラットフォームへつけるというもの。取締役 副社長の遠藤 真氏によれば、目標値は車椅子でも乗降できる45mm±15mmという間隔。現在、バラつきも含めて、目標値内への精度を追求できていると言う。

大型車両では実現が難しい操舵支援について、路線バスと隊列走行の大型トラックでは異なるシステムを搭載していると言う。日野自動車研究所 室長の一ノ瀬 直氏によれば、路線バスに搭載されている操舵支援は乗用車のコラムアシスト式EPSとほぼ同構造のシステムだとか。

今後、EDSSは路肩に寄せて安全に停止できるよう、操舵支援まで組み込んだシステムの開発を目指す。プラットフォーム正着制御は、いすゞ自動車と共同開発しており、東京オリンピック・パラリンピックに向けて実用化が急がれている。
《高根英幸》

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