【アルファロメオ ジュリア スーパー 試乗】これほど個性的で、走りを楽しめるセダンを僕は知らない…中村孝仁

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アルファロメオ ジュリア スーパー
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『MiTo』はともかくとして、アルファロメオの車種名で『ジュリエッタ』と来れば、その次は『ジュリア』となるのはほぼ既定路線。

60年代同様、ジュリエッタの格上モデルとして、ジュリアの名がアルファ・ラインナップに蘇った。しかも、グレードは受注生産のジュリアを除けば、その上は『ジュリアスーパー』、その上が『ジュリアヴェローチェ』と来たから、コアなアルファ・ファンにはたまらない。最上級モデルは区「クワドリフォリオ」で、こいつは別格である。

60年代のジュリアスーパーは、ジュリアラインナップの中でも特別な高性能モデルだったのだが、今はそれがボトムグレードに与えられた名前。そのあたりはコアなファンとしては少々気になるところである。

少なくとも机上の性能ではスーパーに搭載されるエンジンは200psの直4で、その上のヴェローチェは280ps。そして、唯一FRと4WDの設定がある。別格のクワドリフォリオには、ツインターボ510psのV6エンジンが載る。だから、スペックだけを見てしまうとスーパーは最も大人しいモデルということになるのだが、どっこい、見くびっちゃいけないのである。これについては後述しよう。

まずジュリアは現状アルファラインナップのトップモデルとして誕生しただけに、その仕上げは中々上質である。そして装備は受注生産のベースグレードを除けばほぼフル装備。アルファには珍しいACCだって標準。ところが何故かナビゲーションの設定はない。Apple CarPlayか、Android Autoに接続して、そこからナビを使ってくれ…ということなのだが、Apple CarPlayのナビは全く信用できないので少々心もとないが、完全に諦めてスマホのアプリに入っている別のナビを使えばいいので、まあ許そう。ただ、インフォテイメント系とコネクティビティーという、イタリア人には最も弱そうな部分は、やはりライバルのドイツ勢に比べたら手薄なことは事実である。

おもむろにクルマを発進させて、そのフィーリングを確かめてみると、とりあえず走りはしなやかなのだが、およそ路面のありとあらゆる情報を見事なまでにサスペンションから伝えてくれる。悪いことではないが、高級車なら余計な入力はカットしてくれるのだろうが、こいつは全部伝えた上でドライバー自身がどうにでも料理してくれ、とにかく素材は全部あげたから…的な雰囲気。それにステアリングが異様に速い。試しに素早い転舵を試みると、ドキッとするほどシャープにクルマが動く。これが一番シャープになるDNAドライブのDに入れると、さらに強烈だ。

因みにDNAドライブとはいわゆるドライブモードのことで、ダイナミック、ノーマル、アドバンスドエフィシェンシーの3つのモードがあって、要するにスポーツ、ノーマル、エコと切り替えられ、それに応じてステアリングの切れやエンジンの出力カーブ、シフトのタイミングなどが変更される。特に8速ATはDに入れておけば、アクティブブリッピングをしながら変速してくれるので、このクルマをアルファらしく走らせようと思えば、まずここに固定。その分燃費は多少犠牲になるが、絶対にお勧めである。

いずれにせよ、乗り心地にしても、ステアリングにしても極めて野性的。有るがままをそのまま提供してくれるから、悪く言えば雑味だらけ。でも、料理するのはドライバーであるということを、痛いほど知らせてくれる。

見くびっちゃいけないと話したが、200psのエンジン、実はタコメーターだけを見ると5500rpmからレッドのゼブラゾーン、そして6000rpmからレッドゾーンとなり、「あれ?案外回らないのね」という印象を持つのだが、実際にちょっと攻めた走りをすると、おいおい、こんなに出るの?っていう印象。勿論ヴェローチェと乗り比べでもしようものなら、そりゃあ違いもあるだろうが、少なくともこのパフォーマンスで物足りないという人はまずいないと思う。

そして前述した、異様にクィックなステアリングと相まって、ついついATはマニュアルモードに入る。当然パドルシフトが付くのだが、その異様な長さもアルファらしい。ステアリングのロックトゥロックがほとんど2回転ちょっとだから、街角でもまずステアリングから手を離すことなく走れる。

これほど個性的で、走りを楽しめるDセグメントのセダンを僕は知らない。ジュリアの前ではメルセデス『Cクラス』、BMW『3シリーズ』、アウディ『A4』などはすべて色褪せる。ただしそれは走りに関してだけのこと。異様に長いパドルシフトは、ステアリングにこれも異様に近いから邪魔な時もあるし、ウィンカーにも手が届きにくい。上質に仕上げたインテリアも、ドイツ勢ほどのクォリティーとは言い難い。リアコンパートメントもボディ外観の割には狭いし、トランクも開口部が小さく収容能力も大きくはない。それに夜間はリアウィンドーに付くハイマウントストップランプが、ブレーキングの度に赤い照明が室内に駄々洩れ等々、多少の愛嬌はあるけれど、楽しいがキーワードになったら俄然このクルマがお勧めである。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
《中村 孝仁》

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