10月28日から一般公開が始まる東京モーターショーで、ぜひ見ておきたい一台がある。アジアプレミアとなるメルセデスAMG『プロジェクト・ワン』だ。
メルセデスAMGのF1マシンを、公道走行できるように仕立て上げたのが、このプロジェクト・ワンであり、”ワン”はもちろんF1のことを指している。メルセデスAMGの商品・マーケティング統括エバ・ヴィーゼ氏自ら「ストリート・リーガルなF1カーです」と言明している通りだ。そしてご存知の通り、メルセデスAMGのF1チーム『Mercedes-AMG F1』は、今シーズンもコンストラクターズタイトルを守り、これで4年連続のチャンピオンとなっている。
プロジェクト・ワンのスペックはこうだ。F1マシン譲りの1.6リットルV型6気筒ターボをミッドシップに搭載し、最大出力は680hp以上。そしてフロントに2個のモーター(163hp×2個)を搭載し、システム全体で1000hp以上のパワーを引き出す。現在最強のメルセデスAMG-F1チームの技術が注ぎ込まれているという。
そして実物を目の当たりにすると、公道走行にあたってボディシェルや保安部品は備えられているが、その骨格はまさにF1マシンそのもの。そしてこのプロジェクト・ワンは、ただのコンセプトカーではない。2019年には生産が開始され、2020年には公道に出ることになるだろう。展示車両にも、”ホンモノ”ならではのオーラが漂っている。
今回の東京モーターショーでは、EVやシェアカーのコンセプトが花盛りだが、プロジェクト・ワンはある意味、エンジン・カーの究極の姿である。こういったクルマが現れることは、これからはそう無い、という意味でも、ぜひいま見ておくべき一台だ。
メルセデス・ベンツブースには、ほかにも見どころがある。こちらもアジアプレミアとなるスマート『ヴィジョン EQ フォーツー』だ。プロジェクト・ワンとは正反対で、EVのシェアカーを想定しており、かつ完全自動運転車で、ステアリングもアクセルもない。ポリカーボネイトのような質感の乳白色のボディに、歩行者とコミュニケーションするディスプレイがフロントマスクに備えられている。ライトがパチパチと目のように動き、くるくると表情を変える。今回のモーターショーでは、トヨタの『Concept-愛i』とならんで、とても愛嬌があるクルマだ。
そして最後に、個人的に推したいのは、ブースの隅に置かれた赤いゲレンデ、『G 350 d designo manufaktur Edition』だ。見慣れたモノトーンではなく、真っ赤なゲレンデはとても新鮮で、街にも映えるだろう。グリルやモール、ホイールなどのディテールもセンス良くまとまっており、ツボを押さえた仕様だ。