シンガポールでの試乗と聞いて、最初は交通量の多い都市部のみでクルマの間を縫うようにして走りつつ、ひたすらストップ&ゴーを繰り返すばかりだと思ったが、実際はそうではなかった。東京23区ほど、琵琶湖くらいの面積しかないシンガポールだが、片側4車線のハイウェイはあるし、森林の中を気持ち良く駆け抜けるワインディングだってある。都会を抜け、高速道路に乗ってワインディングへ。日本の大都市に住むライダーの休日を凝縮しているようで、距離こそ短いもののバイクでの楽しみ方という点ではそっくりではないか。そして、このストリートロッドを乗り回すには、うってつけの場所である。まず市街地での走りが苦にならない、というか得意。取り回しが軽いうえダッシュが鋭いから、信号からの発進が面白い。常用回転域となる4000~5000回転でトルクが太いから、クルマの合間を縫ってスイスイ前に出ることができる。「トップエンドでの伸びより、こういった“使える”ミドルの領域がありがたいんだよなぁ」と、ヘルメットの中でついニンマリしてしまう。制限速度90km/hの高速道路に上がっても、エンジンはまだまだ余裕があるし、乗り心地も悪くない。アーバンスポーツとして開発されているが、ハイウェイクルージングを苦手にしていないのはさすがはクルーザーがメインのハーレーダビッドソンといったところ。アグレシッブなルックスをもたらすスピードスクリーンは小さいながらも、ウインドプロテクションに貢献しているのだろう。速度をもっと上げたくなるが、至るところにオービスが。我慢、我慢…。最高だったのはワインディングだ。前後17インチのラジアルタイヤを履き、倒立フォークとピギーバックリザーバーショックを備えた足まわりが軽快なハンドリングを生み出していて、イン側にお尻をずらせば右に左に意のままに旋回していく。ステップ裏のバンクセンサーを路面に擦りつけたフルバンク状態であっても車体はしっかり安定していて、そこからさらにアクセルをまだまだ開けていける。このスポーツ性能の高さと扱いやすさは、国産スポーツバイクからの乗り換えやビギナーにもオススメだ!■5つ星評価パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★コンフォート:★★★★足着き:★★★★オススメ度:★★★★★協力:ハーレーダビッドソン ジャパン(試乗会)青木タカオ|モーターサイクルジャーナリストバイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
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