『ムーヴ』の派生モデルとして登場した『ムーヴキャンバス』は、ダイハツのラインアップのなかで女性向けのモデルの減少に対応したとアナウンスされた。ターゲットユーザーは未婚の娘と親の世帯。娘も母親も乗るクルマ…ということなのだが、これがちょっともったいなく感じる。というのも50歳を過ぎたオッサンの私が乗っても、まったく違和感なしで運転できる。よくある女性仕様車に乗ると、こっ恥ずかしい思いをすることがあるが、ムーヴキャンバスは乗っていても別に恥ずかしくもなければ、違和感も感じない。ムーヴキャンバスは軽自動車なので、全長×全幅については3395×1475mmとほかの軽自動車と同様。全高は1655mmとユーティリティ系軽ワゴンとしては中間レベルの高さ。この全高で両側スライドドアを採用したのはムーヴキャンバスが初。スライドドアならではのリヤシートへのアクセスのよさは、ユーティリティ系としては大きな利点。しかも全高が高くないので、走らせて気持ちいいという大きなメリットもある。ムーヴキャンバスに搭載されるエンジンは3気筒の自然吸気で最高出力は52馬力。現状、ターボは用意されていない。組み合わされるミッションはCVT。エンジンにとくに力不足は感じず、必要にして十分という印象が強い。今回は首都高速を走り、浜崎橋からレインボーブリッジという上り勾配も経験したが、普通に走っているぶんには不満はないし、後からせっつかれるようなこともなかった。車高を抑えたこともあり、ハンドリングは自然で素直。荷物を積むことを最優先した『ウェイク』は、起き上がりこぼしのような無理のあるロールの様子を見せるクルマだった(しかしその代償として手に入れた広大なスペースは十分に評価できる)が、ムーヴキャンバスはじつに素直な動きで、スッとロールし、同じ速度で戻って姿勢を落ち着かせる。エンジンとシャシーのバランスもよく、普通の軽自動車としての完成度が高い。冒頭にも書いたが、これを女性向けと売ってしまうのはもったいない。女性だけでなく、男性だって十分にその性能を認められるはずだ。内外装のカラーリングなどで購入をあきらめる男性もいるだろうから、もっとシンプルでダーク系な内装のモデルなども用意し、男性客にも積極的にアピールしていったほうがよさそう。そうそう、「裏ムーヴキャンバス(注:かつて、ダイハツはムーブのカスタム系を裏ムーヴと呼んで販売したことがある)」を作ればいいのだ。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★諸星陽一|モータージャーナリスト自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
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