【BMW 118d 試乗】5日間・900kmを走破し感じた“ポジ”と“ネガ”…中村孝仁

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BMW 118d
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一般的にディーゼルエンジン車は同程度の性能を持つガソリンエンジン車と比較して20~30万円ほど高い。BMW『118d』も例外ではなく、ガソリンの118iより21万円高い。

だからディーゼル車を買って「元を取る」には長距離を走ることが前提となる。敢えて「元を取る」という書き方をしたが、つまりはランニングコストでイニシャルコストをカバーするにはどうしたらよいかということなのだが、今回5日間で900kmを走破して、改めてディーゼルに乗ることの意味とその良さ、そして同時にネガも味わうことが出来た。

ご存知の通りBMW『1シリーズ』はCセグメントにおいて唯一無二のFRのレイアウトを持つハッチバックである。正直言って室内空間などはFWDのライバルから比べたら明らかに狭いし、大きなプロペラシャフトを通すトンネルが車体中央を貫通しているから、実質的に5人乗りはしんどい。一方でFRらしい後ろからグイグイと押される印象のドライブフィールはこれも明らかに他のFWDのそれとは異なるし、実にバランスが取れている印象を受ける。FWDを否定するつもりは毛頭ないが、こうして乗ってみるとやっぱりFRはワインディングなどを飛ばしたら面白いなぁという実感が湧く。

そのエンジン、同じ2リットルのモジュラーディーゼルの中では最もマイルドな150ps版。これに8速ATが組み合わされる。さすがと思ったのは、静粛性だ。FWDディーゼルの多くは横置きエンジン後方排気。つまり、室内に最も近い位置に主たる音源となる排気管が存在する。これに対して縦置きエンジンは音の発散が横方向だから、横置きFWDと比較して明らかにアイドリング時の静粛性は高いし、走り出してもかすかなエンジン音しか聞こえてこないため全体的に静粛性が高い…ということを同じ2リットルFWDディーゼルの他メーカーのモデルと乗り比べて実感した。

マイルドな150ps版は確かにスタートダッシュは緩慢である。元々ガソリン車と比較してピックアップの鋭さとかレスポンスの良さはない。だから、一番緩慢に感じるのがこの発進から50~60km/hまでの加速感だ。しかし、そこを過ぎてしまうとモリモリと湧き上がるようなトルクのおかげで、ガソリン車を突き放していく。高速上の追い越しといったシーンでは、そのパフォーマンスの違いを顕著に感じられるのではないかと思う。

5日間900kmはその大半を高速での移動に費やした。だからディーゼルの恩恵を存分に味わうことが出来た。期間の給油はたったの2回。といっても無理をすれば1回で良かった。というのも最初の給油をした時点では走行可能距離200kmを示していたからだ。この1回目の給油は走行740km程度で行った。この時点で走行可能距離200kmである。そして支払った軽油代は3千数百円。もう1回の給油は1000円程度だから、900km走っても5000円札でおつりがくる勘定になる。

因みに最後は渋滞の一般道を走ったことにより、平均燃費は17.4km/リットルに落ちたが、燃費運転をしなくてもこの数値を叩き出す。因みにBMWのディーゼルは特に高速燃費に優れ、マツダのディーゼルと比較して、都市内における燃費はあまり良くない。さすがはヨーロッパ製。一般的に空いている高速の追い越し車線で流れるスピード(敢えてどのくらいかは書かないが)では抜群の強さを発揮し、マツダのSKYACTIV Dは日本の交通事情を鑑みてこの領域の燃費はガクンと落ちるから、両車の開発の設定条件が顕著に違うことが明白になる。

最近はガソリン車もダウンサイズターボの効果で低速からモリモリとトルクが湧き、トップエンドの最高出力を使う領域までエンジンを回してやると、サーキット走行などでは却ってタイムが落ちることを経験している。今や高回転高出力を謳うクルマはほとんどない。ただそうはいっても、スロットルに対して敏感で、鋭いレスポンスを発揮するのはやはりガソリン車。とはいえ、ハイオクを要求するヨーロッパ製ガソリン車は、リッターあたり+30円の出費を覚悟しなくてはならないし、とてもじゃないが高速を走っても17km/リットルの高燃費は期待できない。だから実用的に使うにはやはりディーゼルなのである。

あくまでも噂だから、話半分に聞いてほしいが、BMWは次期1シリーズをFRからFWDに転換するという話がある。となると、現行1シリーズディーゼルは、まさに今が買い時? まあ噂に過ぎません。

■5つ星評価
パッケージング ★★★
インテリア居住性 ★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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