気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2016年4月27日付
●燃費走行データ無視、三菱自、目標達成へねつ造、国交省指摘、益子会長辞任へ(読売・1面)
●新幹線きょう全線再開、熊本-新水俣復旧完了へ(読売・1面)
●トヨタ販売前年割れ「軽」不振で4年ぶり、15年度1009万台(読売・8面)
●自動車大手8社世界生産1.5%増、15年度前年度比(朝日・8面)
●燃費不正。三菱自社長、引責辞任へ、91年から違法測定(毎日・1面)
●トヨタの世界販売3年連続1000万台超、15年度、前年実績は下回る(東京・7面)
●スズキ印子会社最高益、前期23%増、新型車が好調(日経・9面)
ひとくちコメント
軽自動車などの燃費データ不正問題について、三菱自動車が社内調査の中間報告を国土交通省に提出し、同社の相川哲郎社長らが先週に引き続き2回目の記者会見を開いた。会見では、25年にわたって、法令と異なる方法で燃費データの測定を行っていたことなどの新たな偽装事例も明らかになった。
きょうの各紙も日経を除く5紙が1面トップ記事で報じているが、「三菱自25年前から不正」(産経)が大半。このうち、東京は「不正25年『伝承』」とのタイトルで「『パジェロ』や『ギャラン』『コルト』など販売を終了している車種でも法令と異なる試験方法が行われていた疑いが強まった」とも伝えている。
また、相川社長が「会社の存続にかかわるぐらいの大きな事案」と発言したことで、経営トップの引責辞任問題にも言及。相川社長が「今後の再発防止策を作ることが今の私の最大のミッション」と進退の明言を避けたが、見出しは「三菱自社長、引責辞任へ」(毎日)としている。さらに、読売は「益子修会長が辞任する見通しとなった」と1面で報じた。
1面以外の関係記事では、朝日が「時時刻刻」で「三菱自『不正』四半世紀」として、繰り返されてきた不祥事の数々を上げているほか、毎日なども過去の不祥事を一覧表で列挙。このなかには、“天皇”と呼ばれていた中村裕一社長時代に起こった「米子会社の大量セクハラ事件」や「総会屋への利益供与事件」なども取り上げられている。
今回の燃費データ不正問題発覚後、書斎に保存していた資料を読み返してみたところ、リコール隠し事件が明るみになった頃の2000年11月27日発売の「エコノミスト」に筆者がレポートした記事をみつけた。その書き出しには「トップの顔色ばかりうかがう『内向きの体質』が、都合の悪いことを隠蔽するという『経営の荒廃』をもたらした」と記している。
あれから16年の年月が過ぎても企業の体質は変わらず、「不祥事の総合デパート」の汚名が消えなかったことは残念でならない。