【ジープ レネゲード 試乗】ジープの概念を超えた新時代のジープ…中村孝仁

試乗記 輸入車

ジープ レネゲード オープニング エディション
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ついにジープの年間生産は、100万台という大台に達したという。それだけ全世界で人気のある定番ブランド。そのジープをさらに上に押し上げる新たなエントリーモデルとして誕生したのが、『レネゲード』である。

レネゲードの現物を初めて見たのは、今年のデトロイトショー。やっとホンモノのコンパクトジープが誕生した…と思っていたら、日本市場のスペックを見る限り外観のサイズはほとんど従来あった『パトリオット』と大差ない。今回はコンパクトというよりBセグメントのジープという触れ込みだったので、大きさに関する限りはあれ?っていうのが偽らざる感想だ。もっとも大きいと感じるのは1805mmの全幅だけで、全長はVW『ゴルフ』とほぼ同じであるから十分コンパクトと言えよう。

搭載するエンジンは1.4リットル4気筒マルチエアターボ。その名前からもこのエンジンがフィアットベースであることがわかる。クライスラー側では既にダッジ『ダート』に搭載されているもので、フィアットではアルファロメオが『ミト』、及び『ジュリエッタ』にこのエンジンを搭載する。ただし、チューニングは異なっている。

マルチエアがどのように優れるか簡単に解説しよう。このエンジンは吸気側にカムを持たず、バルブの開閉は油圧ピストンによって行われる。その油圧ピストンの駆動力は、排気側カムシャフトが作り出すという効率的な仕組みだ。スロットルバルブはエンジンブレーキが必要となる時以外は常時開きっぱなし。そのスロットルバルブの代わりを吸気バルブの開閉量、開閉時間、開閉タイミングを電子制御することで行うというもの。巧妙かつ緻密なものだ。それによるメリットはポンピングロスの低減、排ガスのクリーン化、燃費向上など多岐にわたる。

このエンジンに組み合わされるのは6速DCT。ジープでは初採用である。DCTはそのチューニングによって、素晴らしくスポーティーにしたり、ATと見分けがつかないほどスムーズにしたりと使い分けることが出来る。スポーティーの代表例ではVW『ゴルフR』、スムーズの代表例ではメルセデス『CLA』が挙げられるが、アルファロメオ・ジュリエッタはその中間。そしてレネゲードの場合は中間より少しソフト、即ちスムーズに振った味付けという印象だった。

パワーは140ps、最大トルクは230Nmと、同じ排気量のダウンサイジングターボを搭載する他メーカーのものとそう変わらない性能だが、車重が1675kgとかなり重めなので、コンパクトカー的軽快感は持たず、走りの印象としても瞬発力よりも持久力の高さをうかがわせる。

3人乗車で試乗したにもかかわらず、サスペンションは上方向への突き上げが比較的強く、FWDでオフロードとは無縁なはずなのに、やはりジープらしいオフロードを想定した乗り味のしているのが特徴だ。この性格、ハイトのある215/65R16というタイヤに負うところも大きい気がする。いずれにせよ空気がたっぷりと入ったタイヤに乗せられている印象だった。オフロード的なのはステアフィールも同様で、中心付近にゆとりを持たせ、いざキックバックを食らっても慌てることの無い設定とされているのも如何にもジープ的。

一方でジープらしくないと思えたのは、中々ポップで若々しいイメージのインテリアデザインである。ここ数年来急速にその質感を上げてきたクライスラーブランドの各モデル。ジープも例外ではなく、『グランドチェロキー』、『チェロキー』は言うに及ばず、タフが身上の『ラングラー』でさえ、上質感あふれる内装に変わっている。レネゲードも使用する素材から作り込みのクオリティーまでなかなか高いものを感じさせてくれた。実はこのクルマ、アメリカ製ではなくイタリア製だ。とまあ、新しいことずくめのジープ。お値段も税込みで300万円を切る297万円と手ごろ感がある。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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