【メルセデス CLA シューティングブレーク 試乗】スタイル系ワゴンなのに実用性十分…中村孝仁

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メルセデス CLA250 シューティングブレーク
  • メルセデス CLA250 シューティングブレーク
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シューティングブレークという、ある意味耳慣れない車名だが、要するにワゴンである。その名が示す通り、始めは狩り用の猟銃を積むことからその名がついた。だが、今は広くワゴンの一つと解釈してよい。

ワゴンでもいわゆるスタイル系のモデルは、例えばツーリングと呼んだり、そのものズバリ、スポーツワゴンと呼んだり様々だ。しかし一様に言えることは実用性が低いこと。特にラゲッジルームの容量が小さく、セダンのトランクスペースよりも小さな物だって存在する。だからある意味では、お洒落感覚のトレンドでもある。

しかし、メルセデスベンツ『CLA シューティングブレーク』は、見事にトレンドを取り入れたスタイル系ワゴンでありながら、その実用性もかなり高い。つまりワゴンとして十分に使える存在である点が嬉しい。

最初に見た時、ずいぶん大きいなぁと感じたものの、諸元で見るとクーペ版の『CLA』と全長、全幅は変わらない。全高がたった5mmだが高くなっているのみで、ほぼクーペと同じなのである。実はこのサイズ、先代『Cクラス』とほぼ同じ(全高除く)だから、『Aクラス』のプラットフォームを使ったモデルとしてはやはり大きいわけである。

250の場合、搭載するのは2リットルターボユニット。パワーは211psも出ていて、トルクも350Nmを僅か1200rpmから4000rpmに渡って出し続ける。相当にパワフルなはずなのに、試乗した限りそれをちっとも感じさせてくれなかった。もし、連続して180を乗っていたら、その違いは顕著だったと思うのだが、何となくパフォーマンスに関しては普通、という印象である。その理由の1つが、恐らくこのクルマが使っているDCTにあるように思う。

DCTと聞くと、どうしてもスポーティーな走りを連想する人が多いだろうし、実際にそれを求める人も多いと思う。しかし、メルセデスが採用しているDCTの思想は、そうしたスポーツ性とはかけ離れたむしろ真逆の存在と言っても過言ではない。

メルセデスはこのDCTに、AT並のスムーズネスを与えることに注力している。だから、ギアとギアの接続は、言い方は悪いが相当に緩慢。その分、全くと言ってよいほどぎくしゃく感がなく、接続によるショックも伴わない。

だから、まるでステップATで、人を乗せてもこれがDCTだと見抜く人はまずいないと思う。一方で接続が緩慢だから、スムーズではあるがちょっと急ぐ時などはまどろっこしい。これはエコモードだろうがスポーツモードだろうが性格的に変わることはなく、スポーツモードにすると多少高い回転までギアを引っ張るが、接続時間を短縮するというモードは組み込まれていないようである。

このDCTの性格だけでなく、運動性能もかなりおっとりと快適で、性格は相当にソフト路線を行くクルマと感じられた。FWDであることを感じさせる要素もほとんどなくなり、目を三角にしてコーナーを飛ばさない限り、FWDらしいステア特性など出ないのではないかと思われた。

お値段は中々。素で492万円。どうしても欲しいディストロニックを含むレーダーセーフティーパッケージとレザーエクスクルーシブパッケージが載った試乗車の価格はほぼ550万円。これだと完全にCクラスに手が届いてしまう。果たしてCクラスと比べた時にCLAの魅力は何かと聞かれると、ただ一つシューティングブレークのスタイリングということになり、それから『CLA180』でもいいかな? という判断が働いてしまう。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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