【トヨタ シエンタ 試乗】お買い得なガソリン車、長く付き合える使い勝手が魅力…片岡英明

試乗記 国産車
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デザインだけでなく、パッケージングからパワーユニットまで、すべてがモデルチェンジと言える変貌を遂げたのが『シエンタ』だ。エクステリアは、ラテンのクルマかと思うほど大胆かつキュートなデザインで登場した。インテリアも若々しいデザインだ。

色使いも日本車離れしている。オレンジの挿し色もおしゃれだ。スイッチは操作しやすいし、インパネ周辺の小物収納も充実している。ただし、樹脂パネルで触感が悪い。これが惜しいところ。

キャビンスペースも満足できる広さを確保している。ちょっとアップライトに座る運転席からの見晴らしはよく、ハイポジションメーターも見やすい。2列目のシートも余裕の広さだ。身長170cmの筆者が最適な姿勢で座ったとき、3列目にはそれなりの頭上空間と膝元空間が残されていた。大人でも何とか座れる。しかもフロアが低く、スライドドアの開口幅も増えているから乗り降りもしやすい。キャプテンシート風の2人掛け仕様とベンチシートの3人掛け仕様を設定しているのも良心的だ。

ラゲッジルームは、3列目シートに人を乗せた状態だとミニマムで、ハイブリッド車はアンダーボックスも浅い。この3列目シートは簡単に畳め、2列目のシート下に収納する。この状態ならライバルを圧倒する広さだ。フロアも低いので重い荷物も積みやすい。2列目をダブルフォールディングして畳んだときは上級クラスのミニバンに迫る広さを実現した。

新たに加わったハイブリッド車は、1.5リットルの直列4気筒エンジンにモーターを組み合わせている。『アクア』のものを使っているが、重量の増加は気にならなかった。鋭い瞬発力のモーターが後押しすることによって軽快な加速を披露し、静粛性も高いレベルにある。意識して丁寧に運転すればEV走行の守備範囲が広がるから燃費もいい。ただし、エンジンがかかってしまうと、そのノイズが気になった。

アトキンソンサイクルを採用した1.5リットルのDOHCエンジンも非凡な実力だ。高回転になるほどハイブリッド車を凌ぐ力強い加速を見せ、素直にパワーとトルクが盛り上がる。ゴー・ストップの多い都市部でもフレキシブルな走りを披露し、扱いやすかった。燃費はハイブリッド車にかなわない。だが、アイドリングストップを導入したこともあり、街中でも15km/リットルを超える燃費をマークした。価格を考えると、1.5リットルのガソリンエンジン車はお買い得な印象だ。

ハンドリングは素直で、コントロールできる領域は大きく広がっている。正確な操舵フィールを身につけ、速いスピードでコーナリングしたときでも接地フィールがいい。剛性の大幅な向上は、安心感のあるハンドリングだけでなく乗り心地のよさにも貢献している。一体感のある挙動を見せるのは16インチタイヤ仕様だが、日常の速度域で扱いやすいと感じるのは15インチタイヤ仕様だ。長く付き合える、使い勝手のいいコンパクトミニバンである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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