三菱『アウトランダーPHEV』のマイナーチェンジに伴い、三菱自動車では“ダイナミックシールド”という考え方で、フロントフェイスのデザインを統一していくという。
三菱自動車工業デザイン本部デザイン戦略・企画部エキスパートの鷲沢志朗さんによると、その源流は、『パジェロ』が歴代使ってきたモチーフにあるという。「特に初代パジェロの頃のSUVは、必ずバンパー周りにプロテクションがあるようなデザインだった。それは、バンパーが樹脂に変わっても常に残ってきた」と振り返る。実際には継続性を意識したのではなく、時代時代のパジェロを考えてデザインした結果、バンパー周りのプロテクションという機能性がデザインとしても取り入れられたのだ。
では、そもそもダイナミックシールドとはどういう考えか。鷲沢さんは、「周囲からクルマと乗員を守る盾。左右バンパーからグリルへ、そして、アンダーカバーあたりからグリルへと、三方からクルマの前面を守る盾があるという形が、三菱の“強さ”というイメージに相応しいのではないかと考えた」と説明する。
ただし、他のクルマでは全く同じデザインのフロントフェイスにはならないと鷲沢さん。「我々は、“アイデンティティ”として取り入れているのではない。今回はSUVなので、パジェロと似たようなフロントになっているが、例えば今後出て来るセダン系であれば、形の要素としては三方から周り込んで守るイメージはあるものの、具体的なラインや表現の仕方はいろいろなものが出て来るだろう」とコメント。
因みに、鷲沢さんによると、「一昨年の東京モーターショーで出品したコンセプトカー3台もこの考え方を踏襲しており、もともとはジュネーブショー13で発表した『コンセプトGR -HEV』に僅かに取り入れており、この時期くらいからいろいろ考えていた」と明かした。