ホンダ『S660』のMTモデルには、「サウンド・オブ・Honda」と呼ばれる仕掛けが組み込まれる予定。市販に先駆け、そのシステムが搭載されたモデルに試乗した。
サウンド・オブ・Hondaは「iPhone」用のアプリ。アプリ内にはF1マシンのマクラーレンホンダ『MP4/5』、『NSX-R』、『シビックタイプR』のエンジン音がサンプリングされていて、それをS660のエンジン音とシンクロさせてスピーカーからエンジン音を響かせるというものだ。
現代のクルマは非常に厳しい規制で作られていて、実際のエンジン音を迫力のあるものにすることが難しい。そこで、こうしたギミックが流行りつつあるが、音を選べるというのは新しい試み。
まずはマクラーレンホンダMP4/5をチョイスしてみた。停止した状態で、アクセルペダルをあおると、リアルなエンジン音に若干の遅れがあって、スピーカーから乾いたV10サウンドが響く。そのままギヤを1速に入れて走り出す。サウンド・オブ・Hondaの音量はオーディオ側で調整可能。自分の好みの音量で楽しめる。サウンドの種類を選ぶのはiPhone側で行う。
ゆっくりめの速度で走っていると、実際のエンジンとサウンド・オブ・Hondaのエンジン音のシンクロ具合は許容できる範囲に収まっているのだが、ちょっとスポーティに走ろうとするとサウンド・オブ・Hondaから流れる音が遅れてしまうので、運転のリズムが上手に維持できない。
実際の走りではタコメーターよりもエンジンノイズを頼りに走ることも多い。そうしたシチュエーションではこのサウンド・オブ・Hondaが走りの楽しさをスポイルしてしまう。
しかし、サウンド・オブ・Hondaはまだ開発中で、完全な製品版ではない。例えば、タコメーターと連動させるとか、アクセルペダルと連動させるとか…などでよりリニア感を出すことができるはず。ようはエンジン回転と音がシンクロすれば乗りやすさは得られるはずだ。
サウンド・オブ・Hondaは無料アプリとしてリリースしたいということだが、それでもホンダが作るのだから、キチンとしたものにしなければならないだろし、キチンとしたものとして世の中に出て来るはずだ。正式版が登場するのが楽しみ。走りの楽しさが増すはずだ。