【ホンダ ジェイド 試乗】3列シートは装備しているのだが…中村孝仁

試乗記 国産車
【ホンダ ジェイド 試乗】3列シートは装備しているのだが…中村孝仁
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  • シートアレンジは多彩
  • 3列目シートの上に開くルーフウィンドー

大きくなり過ぎた『オデッセイ』と、古くなって役目を終えてしまった『ストリーム』のいいとこ取りをしたという、謳い文句で登場したのが『ジェイド』である。

勿論室内は3列シート。そして、ストリーム以来の立体駐車場に収まる全高だ。しかし今回の場合、低さは一つの売り物。だから全高は1530mmと低く、しかもルーフアンテナ30mmの高さを含んで、だから、実際ボディの全高は1500mmなのである。つまり、ちょっと背の高めのサルーンだったら同じ…ということだ。そんなわけで、外観を見ていると低いなぁ…と、つい独り言が出てしまうほど。とはいってもこの低さはやはりちょっと無理があった。

メーカー曰く、想定するユーザー層はまだファミリーを形成しない若年世帯層や、すでに子育てを終えたいわゆるエンプティネスター層を想定しているそうで、ならば3列目なんていらないじゃん?と突っ込みを入れたくなる想定ユーザー層なのだが、それでも3列シートを万が一のために欲しいという層が存在するのだという。

しかし、その3列目である。とりあえず乗るには乗れる。しかし、その程度。ヘッドルームは限りなくミニマムで、それ以上にレッグスペースもミニマム。無理やり3列目に大人が座ると、2列目のスペースまで少し犠牲になる。さすがに3列目は閉所感が強いので、ルーフに窓が開けられていて、そのスペースが事実上ヘッドルームの逃げとなっている。

その2列目にはユニークな機構があって、シートのスライドレールがV字に装備されている。というわけでシートを後方にスライドすると、徐々に左右のシートが近づいて、最終的にはピタッとくっつく。シートスライド機構が欲しかったためのようだが、結果として2列目はキャプテンシートとなり、最大6人乗車となった。それに背の低いユーザーが2列目に座ってシートを一番後ろまで下げると、その下にある燃料タンクのでっぱりが顔を出して、少し邪魔になる。背が低けりゃ、そんなに後ろに下げる必要ないじゃんと言われると、余計やりたくなる。天の邪鬼か。

エンジンは1.5リットルVTECユニットと7速DCTの組み合わせとなるハイブリッド。つまり基本的に『フィットハイブリッド』と同じである。しかし、プラットフォームのベースは「ユーロシビック」だそうで、トーボードより前は同じものが使われているという説明を受けた。後半部は3列化に伴って新たに作り直され、リアにはダブルウィッシュボーンサスペンションを奢った。

フィットの時に苦手としていたDCTとのマッチングはさすがに良くなっており、走り出してしまって以降の繋がり感に不満は全くない。だが、ニュートラルからDもしくはRをチョイスする際は正確な操作が要求され、しかもその反応にはかなりの時間を要する。リコールの後、このあたりを確実にやろうという、技術陣の石橋を叩いて渡る改良の跡が手に取るようにわかるが、少々念の入れ過ぎ感が強い。

元来ファミリー層向けのはず3列シート。それにホンダ自身も都市型3列シートという割に、ハンドリングはシャープで、軽く転舵したつもりでもノーズはかなりシャープにグイッと曲がってくれる。ホンダらしいと言えばいかにもホンダらしい。ただ、延長して、2760mmもあるホイールベースはフロアの剛性感に少し欠け、振動、ハーシュともその入力は大きめだ。もっとも快適性を損なうというほどではない。

上質を謳う室内は見た目なかなかよろしい。しかしである。ダッシュボードを覆う木目調のパネルは、特にグローブボックス前が裏打ちもない1枚もの。軽く手を付いたらポコッとへこんだ。ビックリして裏から手を入れると何とまあ、薄いパネルが貼ってあるだけだった。このあたりはせめてもう少し剛性を出してほしいところである。

■5つ星評価
パッケージング ★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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