北陸新幹線の金沢延伸まであと100日。「北陸が近くなる」と歓迎ムードのなか、米原駅(滋賀県)と越後湯沢駅(新潟県)では「不安だ」「減益は必至」といった声がある。新幹線と在来線の接続駅として混雑する両駅は、新幹線の金沢延伸で「存在感を失う」という。
首都圏と北陸を結ぶルートは、上越新幹線と特急「はくたか」の“越後湯沢駅乗り換え”や、東海道新幹線と特急「しらさぎ」の“米原駅乗り換え”などがある。観光シーズンやお盆・年末年始となると、両駅は“新在乗り換え”で混雑する。
越後湯沢駅のキヨスクで働く女性は「北陸新幹線が延びて、特急「はくたか」がなくなるでしょ。そうなるとこの駅で乗り換える客は、ガクンと減るんじゃないかしら。みんな『どうなっちゃうんだろう』って言い合ってる」という。駅弁を売る川岳軒のスタッフは「今後が心配だ」ともらしていた。
米原駅で駅弁を販売する井筒屋のスタッフも、北陸新幹線の延伸で「客の減少を見込んでいる」という。米原市は「金沢方面へ向かう客の一部は北陸新幹線まわりに流れてしまうだろう」と話す。
往路と復路で違ったルートを選んでほしいと期待する声もある。米原駅構内の売店の女性店員は「行きは北陸新幹線で、帰りは米原経由でとか、そういうツアーが増えればいいんじゃない? 1回でも寄ってくれればお土産も売れると思う」と語る。
憂う声が聞こえるなか、湯沢町はインバウンドに期待を込める。「越後湯沢は、冬になるとシンガポールやタイ、台湾などからの観光客が多く訪れる。ひと月に800人も訪れるときもある。『雪を体験したい』という外国の人たちに、もっと来てもらうようにアイデアを出したい。東京から新幹線に乗って、駅を降りてすぐに雪と遊べるというロケーションは、越後湯沢のウリ」という。
また、北陸線を走る特急「サンダーバード」「しらさぎ」などの車内販売が終了し、米原駅の売店では「この駅でビールや弁当を買い込む人が増えた気がする」という声もある。
2015年春から表情を変える米原と越後湯沢。「不安だが、まだ具体的な策は考えていない」といった共通の声もあった。