第一印象は“非常にオーソドックス”だった。「(日本の多くの)MPV、ハイトワゴンとは一線を画す」(BMW広報室)としながらも、ファミリーカーとしての安心感を重視したのだろう。
個人的には少々以前のE39型5シリーズのマスクを連想したほど。いかにも子育てファミリーを狙いました的ではない、どんなユーザーにも似合うプレーンさは好感がもてる。その意味では、ごく普通のクルマに仕上げられている。
“セミコマンドポジション”の運転席は、フードが視野に入り、Aピラー付け根の三角窓の視界もキチンと有効。インパネや操作系はBMWの文法どおりで、何の違和感もない。後席はシート座面前後長がやや短めだが、リクライニングはー1.5~+28.5度の範囲で3段階の調節が効き、ラクな姿勢は取れる。頭上空間も十分だ。トランクスペースは一般的な同クラスFF・2ボックス車を凌ぐ容量だ。
真円でグリップが太過ぎないステアリングを握りながらの走りは、同じFFプラットフォームのミニ・クロスオーバー系の味が遠くに微かに感じる。10mm下げたM Sportの足が標準という日本仕様は、40km/h以下程度で路面が荒れた場所では(ランフラットタイヤでもあり)それが伝わるが、基本的になめらかでフラットな乗り味。1.5リットルの3気筒ツインパワーターボは、2000rpm以下でもパワーのピックアップがよく、モード切り替えにより、ゆったりとも、俊足にも走らせられる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。