北欧家具というカテゴリーが存在するほど北欧デザインは秀逸で人気があり、それをほのかに感じされるこの『V60』のセンターコンソールからシフトレバーにかけてのセンスにはうっとりである。
バブル時代は、クルマのカタチが羊羹みたいと敬意なのか失笑なのかわからない言われ方をされていた外観も、いまでは面の美しさが艶っぽく美しく成長し、昔の面影が残るグリルの存在感がボルボらしさを主張している。
「V60 T5 SE」に搭載されたのは、2リットルターボに8ATを組み合わせたパワートレインで、これからのボルボを背負って立つユニットである。アイドリングストップ機能もつき、エンジンは時速7km以下になると、するりと停止して燃費を稼ぐソツのなさだ。
燃費、走りともに申し分ないのだが、気になるのは音。もしやこれはディーゼル?と、昨今の遮音に心血を注ぐディーゼル車よりも耳につく音。車内はともかく車外で聞くと金属がぶつかりあう音が、ちょっと、いや、だいぶ耳につく。早朝こそっとゴルフに行くお父さんを、勝手に心配してしまう。余計なお世話なのだが。
ボルボのよさは、ドイツ系高級ともラテン系洒落とも一線を画す、実はちょっとお求め安い価格帯でさらりと乗れますよなところ。ボディサイズもデザインも8ATの加速もいいけれど、この音だけは各ユーザーの判断にゆだねるところである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ │ モータージャーナリスト/ノンフィクション作家
女性誌や一般誌、ラジオなどで活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーと、救急医療を通じて衝突安全を中心に取材をするほか、近年はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。チャイルドシート指導員。国土交通省安全基準検討会検討員。同・リコール検討員。同・独立行政法人評価委員会臨時委員他、委員を兼任。