【アプリリア SRV850 ABS-ATC 試乗】見せかけの“スポーティ”ではない秀逸の完成度…和歌山利宏

モーターサイクル 新型車
アプリリア・SRV850 ABS-ATC
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『SRV850』は、電子制御CVT装備のアプリリア『マーナGT850』の90度Vツインエンジンを搭載した排気量839ccのメガスクーターである。2012年のEICMAで発表され、今回、そのABSとトラクションコントロール装備モデルが国内に導入されることになった。

そもそもは、同じピアッジオグループの「ジレラ」から2006年のEICMAで発表された『GP800』(末尾の数字が違っても排気量は同じ)と基本を共用するモデルだが、このSRV850はアプリリアらしく、スーパースポーツモデルの『RSV4』を髣髴とさせるフロントマスクを備え、スポーツイメージを強調したものとなっている。

そんなSRV850は、見た目も跨がって感じる大きさも、やはりメガスクーターだ。ホイールベースはスズキの『スカイウェイブ』(欧州名バーグマン)と全く同じで、公称重量276kgもほぼ同じなのだが、フロント16、リヤ15インチとホイール径が他モデルよりワンサイズ大きいこともあってか、スクーターのイメージを超えた存在感が放たれている。

足着き性が良いとはいえないものの、スルーステップ式なので、前方に座れば小柄な女性でも問題ない。とは言え、スクーターらしく街乗りバイクとして使うには、少々巨漢との印象は免れない。

ところが、低速での取り回し走行も実に素直で、小回りも軽快にこなすことができる。バイクとしてのバランスに優れていて、フロント16インチであることも、この自然さに貢献していよう。ともかく、同程度の車格を持つ大型バイクよりも低重心であって、安定感とホッとできる安心感に溢れている。

そして、ある程度のペースで走り出すと、これがスクーターでもモーターサイクルでもない独自形であり、友好モードに浸りながら快適かつスポーティに移動するためのひとつの最良形だとさえ思えてくる。

850ccクラスエンジンのトルクによって、現実的な速度域である数10km/hから120km/h位に掛け、ミドルクラスのスポーツバイクに勝るとも劣らず、力強くダッシュ。それでいて、このスクーターの車体がパワーに負けることはない。

もっとも車体構成は、一般的なスクーターが採用するユニットスイング式(エンジンユニット自体が揺動しリヤの緩衝機能を担う)ではなく、モーターサイクルと同様にエンジンをフレームに懸架したスイングアーム式で、その点ではヤマハ『TMAX』やBMW『C650』とも同じである。

でもSRVは、他のように車体を高剛性化するのではなく、バランスよく柔軟な車体で挙動を吸収させ、高い安定性を得ている。しっとりとした乗り味で、快適かつ安心感に浸れているのである。そのへんは、ピアッジオグループのイタリアンスクーターの持ち味にも通じるところである。

コーナリングも秀逸で、ワインディングに出掛けても、コーナーでスポーツバイクに引けを取ることもないだろう。フロント16インチの相性も絶妙だ。

これまで経験したことのない二輪車に触れた気分になったSRV850であった。


和歌山利宏|二輪ジャーナリスト
1954年生まれ、1975年にヤマハ発動機に入社し、様々なロードスポーツバイクの開発に携わり、テストライダーも務める。また、自らレース活動も行ない、鈴鹿8耐第5回大会では4位入賞の成績を持つ。現在は二輪ジャーナリストとして執筆活動、ライディングインストラクターなど多方面で活躍中。
《和歌山 利宏》

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