『アクア』のマイナーチェンジに合わせて“G’s”が設定された。「G」グレードをベースに、専用の外観デザインや内装の仕様、チューニングされた足回りなどを備えている。ハイブリッドシステムやブレーキなどはベース車のままだが、走りのフィールは大きく違っていた。
外観デザインは大きく開いたフロントグリルが印象的。前後バンパーとサイドマッドガードなどの外装パーツのほか、ヘッドライト、フェンダーガーニッシュ、アルミホイールなどが専用設定である。
内装では、スポーツシートのほか、本革巻きステアリングホイール&シフトノブ、アルミペダル、スターターボタンなどなど、いろいろな部分が標準車とは異なる仕様とされている。
サスペンションに専用のチューニングが施され、2サイズアップした17インチの「ポテンザRE050A」を履くこともあって、相当にしっかりした乗り心地を感じさせた。すっきりした操舵(そうだ)感覚を与えるステアリングは、好感の持てるものだった。取り付け部の剛性アップが貢献しているのだろう。
とはいえ、アクアのG’sは『プリウス』のG’sほどしゃきっとした走りではない。走行シーンが異なるので簡単に断言できないが、プリウスのG’sはとても良い印象だった記憶があり、それに比べるとアクアのG’sはもうひと頑張りが欲しい感じもあった。
アクアは良く売れているクルマだけに、ほかの人が乗るアクアとの差別化を図りたいというニーズも強い。そんなユーザーのために内外装を中心にした違いを設けたG’sは、一定以上に存在意義のあるクルマだと思う。
アクアのGが187万円なのに対し、G’sは222万円で35万円高の設定だ。内外装から足回りまで多岐にわたってG's専用の仕様が設定され、すっきりした走りが得られることを考えたら、この35万円差はむしろバーゲンプライスである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。