200ps/25.5kgf・mにチューンされた専用1.6リットルターボエンジン、専用18インチタイヤ&ホイール、サスペンションなど…『ジューク』のカタログに6ページもスペースが割かれ紹介される「NISMO」は、定石どおりに手が入った“高性能バージョン”だ。
ところが実車で走り出すと、予想外の展開。レーシングカーのコクピットが仕事場だとすれば、十分に快適なリビングルームのようだからだ。誤解なきよう説明を加えれば、走りは高性能ながらきわめて洗練されたもの。ノーマルエンジン比+10ps/+1.0kgfmの動力性能は加速から力強く、トップエンドめがけての回転フィールは胸のすくスムースさだ。ステアリングも意のまま、乗り味もごく低速で締め上げられた感はあるも、決して硬いとは感じない。要は、全体が洗練されたまとまりをみせ、結果、気持ちのいい走りを実現している。4WDベースだから、距離をこなしても安心感のある走りが楽しめるだろう。
赤いドアミラーハウジングはアクセント。ほかにボディ下まわりに装着された空力パーツも、見せかけのドレスアップパーツではなく、エアロダイナミクスに裏打ちされたデザインと性能で本物感が伝わる。
12時の位置に色味を抑えた赤い革のセンターマークが入る本革・アルカンターラ巻きステアリング、専用シートも、きちんとした機能を持たせつつ、スパルタンさより上質感が先に立つ。大人でもイケる、気になる1台だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。