1976年の初代以来、歴代『フィエスタ』というとケレン味のないスタイルが“キャラ”だった。ところが最新のキネティック(動的な、躍動感ある)デザイン採用の新型は、小さいながらも気迫満々…といった印象。上級車の『フォーカス』に優るとも劣らない存在感だ。インテリアはここ最近のフォード車の流儀に則ったデザイン。ユニークなシボのインパネ表皮の質感なども上々で、実は『KA』の元オーナーだったレポーターなど隔世の感ヒシヒシ。おもしろいのは各種情報を表示する4.2インチのセンターディスプレイで、たとえばラジオ表示中に別の機能を立ち上げると、レイヤーで後の機能の表示ウインドウが現れる。パソコン感覚の表示ロジックだ。走りもかなり闊達だ。1リットルの3気筒ターボは、出足からまるで高性能バージョンのような加速を示し、高回転まで存分なパワー感を味わわせてくれる。シフトノブ横のスイッチでのシフトチェンジもサクサクと決まる。3気筒のネガ(振動)はなく、聞こえるエンジン音も小気味いいメカ音といった音質だ。乗り味もガン!と剛性感があり、小さくても徹頭徹尾フラットライドなのがフォード流。山道をヒラヒラと走れるハンドリングももちろん楽しい。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。