【VW ゴルフ ヴァリアント 試乗】理想の輸入コンパクトワゴン…青山尚暉

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VW ゴルフ ヴァリアント コンフォートライン
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輸入ワゴンであるようでないコンパクトワゴンが、輸入車初の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したVW『ゴルフ』のワゴン版、「ヴァリアント」である。

その新型は先代までの丸っぽいスタイルから一転、ゴルフ同様に全体的にシャープなラインで構成。スタイリッシュさは格段に増した印象だ。ボディーは先代より45mm低まり、30mm長く、15mm幅広い全長4575×全幅1800×全高1485mm。ホイールベースは2635mmと、先代の60mm増しである。しかし、依然、日本の路上にジャストな絶妙なサイズ感であることに変わりはない。

そう、大きすぎた『レガシィ』の反省から日本ジャストなワゴンとして開発されたスバル最新の『レヴォーグ』とほぼ同サイズなのである(全長はゴルフ ヴァリアントのほうが115mm短い)。

とはいえ、荷室容量はクラス上のレガシィ(520リットル)、『プリウスα』(535リットル)や『アテンザ ワゴン』(506リットル)を凌(しの)ぐ、先代より20%拡大した605リットル。トノカバーやドッグネットを床下にすっきり収納できるようになったのもうれしいポイントだ。開口部地上高は約63cm。重い荷物の出し入れはもちろん、例えば大型犬が無理なく乗降できる高さでもある。

ラインアップは1.2リットルターボのコンフォートラインと、1.4リットルターボ(気筒休止なし)のハイラインの2種。ミッションはもちろん7速DSGだ。

ゴルフとの価格差はコンフォートラインがわずか5000円高、ハイラインは23・5万円高。コンフォートラインがほぼ同額なのは、ゴルフのトレンド/コンフォートラインの中間的装備とした(マニュアルエアコンなど)戦略的価格設定だからだ。

ここで試乗したのはクラス最良のJC08モード燃費21.0km/リットルを誇るコンフォートライン。乗り味はハイラインよりずっと軽やかで、1.2リットルとはいえエンジンはトルキーだから動力性能は十分すぎるとは言えないまでも不足なし。事実、大人3人+中大型犬2頭+スーツケース&犬用キャリーカートという乗員と大荷物で高速道路や山道を走っても「遅い」と感じることはなかった。操縦性にしてもゴルフと変わるところはないのだから立派だ。

ちなみに中央自動車道~首都高を経由した河口湖→東京間の実燃費はモード燃費に迫る19.7km/リットルだった。これはもうHV並みである(写真参照/スタッドレスタイヤ装着)。

ゴルフで感動したクラスを大きく超えた静粛性の高さはこのヴァリアントでもそのままだ。だからロングドライブでも疲れない。前後席間の会話も弾む。犬はと言えばすぐにスヤスヤ…である。

ただし、ハイラインとは乗り心地がやや異なる。良路では文句なしにフラットで快適だが、ハイラインの4リンクとは違うトレーリングアームとなるリヤサスが硬めに設定されているのか、段差越えなどでの後ろ足からのショック、音、振動はやや大きめ。サスペンション回りの部品番号が異なることから、荷室の荷重増を考慮した独自のサスセッティングだと考えられる。が、ゴルフとの違いはほぼそこのみ。

ナビは最初からインダッシュの専用品が17万8500円というリーズナブルな価格設定で用意されているのもニュースである(女性音声ガイダンスの日本語はあやしいが)。

そんな新型ゴルフ ヴァリアントは手ごろな価格、サイズの長きに渡って乗れる輸入ワゴンを探していた人、あるいはボクのように愛犬を乗せやすい、日本ジャストサイズの本格ワゴンを探していた人にぴったりだろう。全速度域衝突回避・軽減ブレーキ、"ぶつからないゴルフ ヴァリアント?"と言えるシティエマージェンシーブレーキ、9エアバッグなど安全装備の充実度も見逃せないポイントだ。

もっとも、セーフティパッケージ、バイキノセンパッケージなどを付けていくと、ハイラインとの価格差は縮まるから、コンフォートラインにするか、いっそハイラインにするかは、エンジンのゆとりや乗り心地、ヘッドライト回りのデザイン&機能の違いと合わせ、慎重に判断したいところだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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