【マツダ アクセラ 新型発表】エンジニアがこだわり抜いたハイブリッドの操作性

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パワートレイン開発本部走行・環境性能開発部 第1走行・環境性能開発グループのメンバーとして、「アクセラ」に搭載されるハイブリッドシステムの走行フィールなどの煮詰めを担当した森下慎也氏。
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2013年12月上旬に、神奈川横浜で開催された新型『アクセラ』の試乗会にて、ハイブリッドシステムの開発担当エンジニアに、ハイブリッドでありながらもマツダらしい走りを実現したポイントを聞くことができた。


◆「最初にクルマができたとき、ぜんぜん走らなかった」

「我々は、走りに関しては、“加速G” “エンジン・サウンド” “操作性”の3つが大切だと考えています。このアクセラ・ハイブリッドに関しては、“操作性”の走りに与える影響度が高かった」と森下慎也氏は言う。森下氏は、パワートレイン開発本部走行・環境性能開発部 第1走行・環境性能開発グループのメンバーとして、「アクセラ」に搭載されるハイブリッドシステムの走行フィールなどの煮詰めを担当したメンバーだ。

「最初にクルマができたとき、ぜんぜん走らなかったんです。非常にクルマが重く感じてしまったんですね。ところがデータをとると、ちゃんと加速Gは出ているんです。アクセル開度10%、30%、50%と踏んでデータをとると、必要な加速Gは出ている。それなのにドライバーは走ったと感じない。すごく重いクルマだと感じました」と森下氏は、開発当初を振り返る。

そこで、モーター駆動からエンジン駆動へと切り替えるポイントを早めてみた。すると、当然、EV走行出来る範囲が狭まり、ハイブリッドであるメリットがなくなってしまう。そうではなく、根本から、なぜ、そうなるのか? を徹底して探っていくと、ほんのささいなドライバーの姿勢に問題があることを発見した。

「わずかな差なのですが、人間が必要以上に力を入れてアクセル・ペダルを踏まないとクルマが動かなかったんです」(森下氏)。


◆涙をのんで吊り下げ式ペダル採用

実は、マツダの新世代技術であるスカイアクティブ技術には、アクセル・ペダルへのこだわりもある。操作性の良さという面から、オルガン式ペダルを『CX-5』や『アテンザ』では採用してきた。新型アクセラでも、同じようにオルガン式を用いる。しかし、このハイブリッドだけは、トヨタと同じつり下げ式ペダルを使ったのだ。これは、トヨタのハイブリッドシステム「THS II」がつり下げ式ペダルを使うためで、オルガン・ペダルを使おうとすると、変換のためにもうひとつ開発の手間がかかる。そのため、今回は涙を飲んでつり下げペダルを利用したという。

「つり下げペダルは、踏んでいくと足の裏とペダルの面が離れていく感じになります。そうすると軌跡がズレてしまいます。そこで、最初に足の裏のどこにペダルが当たって、最後に全開になったときはどこに当たるのか? その間、どう感じるのか? ということを考え、ペダル形状にこだわりました」と森下氏。


◆人間の繊細な感覚にまで踏み込んだチューニング

また走りのフィールを左右する他の要素である“加速G”と“エンジン・サウンド”に関しては、つながりの良さにこだわったという。

「走り出すと、EVで頑張っていて、次にエンジンがアドオンします。そこで“加速G”の段差が出てはいけません。また、段差はサウンドも含まれます。そういったもののつながりをよくしたいとい思いでやってきました。それがリニアだと考えています」という。

その結果、新型アクセラのハイブリッドは、トヨタの『プリウス』同様のEV走行領域を確保したままで、「重くて走らない」というフィールを覆すことに成功した。その違いは、本当に些細なものであり、非常に繊細なチューニングであったという。

「図面値で見ると、線一本なんですね。鉛筆でシュッと書いた1本の線がほとんど重ねあっているという。そんなわずかな領域でも人間は感じてしまうのです。そこを走りながらやってきたというわけです」(森下氏)。

そんな操作性の良さにこだわった新型アクセラを試乗すると、フィーリング的に「意外と早くエンジンが始動する」と感じる。しかし、それは「アクセルが踏みやすいため、意外に深くアクセルを踏んでしまった」という状況であった。だが、それでは、実燃費が悪化しそうにも思える。しかし、それは杞憂だ。先に深くアクセルを踏むことで、その瞬間の燃費は悪化するが、速度上昇は早く行われる。そのため、十分な速度に達するのに必要な時間は短く、その後に早くエンジンを停止させることが可能だ。つまり、ゆっくりエンジンをかけるか、先にかけてすぐに停止させるのかの違い。そのため燃費は悪化しないという。実際に実燃費に関してマツダの開発陣は、新型アクセラとプリウスを街中で同時に走らせての計測をさんざんに行っており、その結果、同じように走っていれば、そこでの燃費の差はほとんどなかったという。

「自然に操作ができれば、無駄なエネルギーを人間もクルマも使いません。だからこそ、操作性に非常にこだわったのです」と森下氏は説明した。
《鈴木ケンイチ》

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