すべてが“超”の字がつくなめらかさ。こういうクルマを所有して、悠々とした人生を送る身分になってみたかったものだ……と、レポーターなどは、つくづく思う。
別の機会に試乗した428iが4気筒だったのに対し、こちらは直6の3リットルエンジン(306ps/40.8kgm)を搭載。動力性能のアドバンテージは明らかで、省燃費の「ECO PRO」モードでも出足はまったく不満ない。100km/hはATの8速なら1700rpm、7速でも2200rpmほど。走行モードが「SPORT」なら、各ギヤでエンジン回転をより上まで使いながら、パワフルな加速ぶりを披露する。
車重は4気筒に対し+50kg。けれどしっとりとした味わいで、ワインディングも路面を舐めるようにトレースする。ステアリングも実になめらか。「バリアブルスポーツステアリング」は、舵角でおよそ90度以上からのクイックなレスポンスが走りを楽しくしている。試乗車は「アダプティブMサスペンション」搭載車だったが、優雅なクーペの『4シリーズ』らしく、硬さのまったくない、なめらかでフラットな乗り心地を保つ。オプションの「Mスポーツブレーキ」も確かな制動力と洗練された作動フィールだった。
Mスポーツ専用の外観エアロアイテムは、これを『4シリーズ』の標準にしてもいいほど、さり気なくスタイリングを引き立てている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。