【インタビュー】三菱eKデザイン「日産デザインと文化的な違和感はなかった」

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松延浩昭エキスパート
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三菱自動車が6月6日に発売した新型『eK』のデザインを担当した松延浩昭エキスパートは「これまでの軽という概念ではなく、新しく造った車がたまたま軽の規格に入るくらいのつもりで、普通の乗用車を造るようなイメージでデザインした」と語る。

---:新型『eK』は三菱、日産との共同開発ですが、デザイン面での進め方をまずお聞かせ下さい。

松延氏(以下:敬称略):協業なので極力同じ部品を多く使いたいというのが、まずありました。それによってコストメリットを出すのが今回のプロジェクトです。ただしお互いのブランドに関するところについては、しっかり差をつけていくことが開発の流れの中で確認されましたので、『eK』と『デイズ』においてはドアよりも前の部分がまるっきり違うデザインになってます。

ただ、お互いのデザイン部門が別々に作業している限りは同じ部分を同じように使えないので、三菱のデザイン部門に日産のデザイナーの方に来て頂いて一緒に作業しました。約1年間、駐在していました。

---:具体的にはどういう流れでデザインが決まっていきましたか。

松延:デザインはコンペティション形式で2つのうちどちらが良いかを選んでいくスタイルをとりました。まずA案の三菱フロントフェイス、日産フロントフェイスのモデルを造ります。B案においても三菱フェイス、日産フェイスをそれぞれ造り、お互いの会社の幹部、それにNMKVがA案とB案をみてどちらが良いか選ぶというプロセスをとりました。

というのもA案において三菱しかない、B案において日産しかないとなりますと、三菱はどうしてもA案しか選ばなくなってしまいます。それぞれの案において三菱モデル、日産モデルを準備して、その上でどちらが今回のプロジェクトにふさわしいかを選択をしていきました。

そのA案を造る際に、ドアから後ろの部分については三菱と日産のデザイナーが一緒になってデザインしました。だからどちらかのデザインというわけではなく、ひとつのチームとなってデザインしました。

ただしフロントフェイスについてはお互いのデザイン部門がデザインするプロセスをとったので、ひとつの車としてまとまりのある三菱『eKワゴン/カスタム』、日産『デイズ/デイズハイウェイスター』という車ができあがったと思ってます。

---:三菱、日産それぞれの特徴を持たせる上で工夫したことは。

松延:それぞれの違いについては、お互いのブランドアイデンティティを出したいので、三菱の場合はより水平基調ですっきり見えるデザイン。日産は、他のプロダクトとわりと似たイメージのものを取り込まれていると思います。そういう違いを出しながら、しっかりとドアより後ろは同じものを使って車を仕上げていくという作業を行いました。

三菱としてはゼロから車を造る機会を得ました。プラットホームを新作していますので、これまでの軽という概念ではなく、新しく造った車がたまたま軽の規格に入るくらいのつもりで、普通の乗用車を造るようなイメージでデザインしました。

そこで、『軽を超えた軽』という言い方をしています。日産は初めて日産としてやれる車のなので登録車メーカーとしての軽を造りたいという意向をお持ちだった。そのあたりがうまく合致したので今回の車がそれなりの品質感を持てたと感じています。

---:ドアから後ろの外観デザインおよび内装は同じですね。

松延:極力、一緒にしていきたいという発想です。軽自動車というとどうしてもユーティリティや、ランプの配光性、ゲートを上げた時のモノの積みやすさ、そういうもので自動的に決まってくる部分があるので、そこを積極的に変えるという意図はなかったです。

インテリアに関しては、エクステリアと同様にお互いのデザイナーが一緒にまじりあって2つのモデル案を造って、それを選んでいく形で1つの案に絞っていきました。

---:ボディカラーも同じですか。

松延:全く同じです。それぞれのカタログを造る時に色名称を変えています。テーマカラーは三菱『eKワゴン』がチェリーブラウン、日産『デイズ』は三菱でいうブリリアントターコイズメタリック。これを日産ではミネラルブルーという名前で使っています。

---:色を変えようという議論はなかったのですか。

松延:色も当然、専用のものを作ろうという議論もありましたが、やはり色数を増やすと販売会社での在庫にもつながります。そもそも、この事業がどこまで可能性があるか、進めながら確認していきましたので、リスクはあまりとるべきではないということで、同じにしました。

---:文化の違いは感じましたか。

松延:我々デザイナーというのは同じような学校を出てきて、仕事も基本的に準備するものは同じですね。スケールモデルを造ったり、プレゼンテーションのための対応とか、場合によってはムービー化したりなど、それも似ていました。人の行き来きもあって、三菱を退社した人が日産にいったりしてるので、だいたい同じですね。そこに対して違和感はありませんでした。

面白かったのが言葉が意外と違ったことですね。インパネというと三菱ではインテリアのインストルメントパネルですが、日産の場合はヘッドランプのリフレクターの周りについている部品、三菱ではエクステンションパネルと呼んでますが、それを日産ではインナーパネル、略してインパネといってます。

文化の違いは、デザインの世界においてはそれほど変わらないですね。今回のプロジェクトで私のカウンターパートナーは出身学校が同じなんですよ。仕事も一緒ですので、思想的な違いはそれほどないですね。
《小松哲也》

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