かつて「デリカ」と言えばスターワゴン、スペースギア時代からディーゼルエンジンに高い評価が集まっていた。しかし、規制の関係などからその規模は縮小、現在のD:5では当初から設定されることはなかった。
D:5デビューから6年、ついにデリカにディーゼルエンジンが復活した。今回搭載されるのは2.3リットル4気筒の直噴ターボ。最大トルクの360Nmを1500~2750回転の低回転域で発生するというディーゼルらしい特性。もちろんクリーンディーゼルで、免税(100%減税)対象だ。
実際に走らせてみても低速トルクが豊富なのは実感できる。アクセルペダルをグッと踏み込んだときは2000回転くらいからのトルクのもりあがりが気持ちいい、モリモリとトルクがもりあがりグイグイ加速していく。
14.9という高圧縮比の直噴ディーゼルエンジンなので、それなりに振動と騒音がある。とはいえ、一昔前のディーゼルのようなガラガラとした印象ではなく、一皮むけた感じはある。
スターワゴン、スペースギア時代のデリカは、クロカン1ボックスと言われるほど、オフロードの走破性が高かった。現行モデルも高性能の4WDシステムを備える。スッキリしたスタイリングだが、じつは最低地上高も210mmとたっぷりとしている。
ねばり強いディーゼルエンジンと、タフな4WDシステムを使って、のそりのそりと岩場を走ってみるのも楽しそう。ミニバン初のクリーンディーゼル車は、狭まったクルマの世界を再び広げることに成功したと言える。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。