【レスポンス スマホ座談 前編】「かわいい」は世界の共通語…スマホが変える日本のものづくり

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上段左から、アイシンAW ナビ第1営業部 百合草浩之氏、黄衛国氏、廣瀬功司氏、Asia Tribe 千田拓真氏、下段左から、ショーン今井氏、GO EAST 富所佐知子氏
  • 上段左から、アイシンAW ナビ第1営業部 百合草浩之氏、黄衛国氏、廣瀬功司氏、Asia Tribe 千田拓真氏、下段左から、ショーン今井氏、GO EAST 富所佐知子氏
  • GO EAST代表 富所佐知子氏
  • NEW PEOPLE Inc. ファウンダー/CEO 堀淵清治氏
  • アイシンAW ナビ第1営業部 廣瀬功司氏
  • 左から廣瀬功司氏、富所佐知子氏、ショーン今井氏
  • スマートフォン向けオリジナルブランド dribrain(ドライブレイン)のロゴ
  • NAVIeliteロゴ(designed by groovisions)
  • iPhone向け カーナビアプリ ドライブレイン ナビエリート(designed by groovisions)
スマートフォンの登場と急速な普及は、“無料が基本”というユーザー心理の変化と共に、端末メーカー/アプリベンダーのビジネスモデルをも大きく変容させた。さらにGoogleやApple、あるいはFacebookといったプラットフォーマーたちは、その有利な立場を利用して新たなビジネスへと参入しようとしている。

とくにグローバルで今後大きな成長が見込める自動車分野は、これまでの自動車メーカーや車載器メーカーのみならず、数多くのIT企業やソフトウェアハウス、さらにはソーシャルメディアベンダーを含めたさまざまなプレイヤーがしのぎを削るもっとも先鋭的なマーケットになっている。

翻って日本を見れば、円高や震災による不況、成熟しきった市場と先行き不透明な政治といった要素が相まって、そのグローバルな競争力を持ち得ていないのでは、という自信喪失の状況にある。

あらためて「日本のものづくり」の原点に立ち返り、再び成長へのステップを踏み出すことはできるのだろうか。今回、国内外で活躍するクリエイターや日本のITメーカー担当者との座談から再成長へのヒントを聞いた。

【座談メンバー(50音順・敬称略)】
富所佐知子:ソニーデジタルエンターテイメントで、携帯コミックのプロデュースや小説、音楽、デコメなどの制作を経て、現在はTwitterの鳥アイコンをデザインしたサイモン・オキシレン氏の日本側のマネジメントなどをおこなう。GO EAST代表。
廣瀬功司:アイシンAWのナビゲーション担当営業として、長年カーナビゲーションの営業・マーケティングに携わる。ナビ第1営業部副部長。スマホアプリNAVIelite(ナビエリート)のブランド推進リーダー。
堀淵清治:大学卒業後、1970年代後半に渡米。以来、日本のカルチャーを米国に紹介する仕事に従事。現在、NEW PEOPLE Inc.のファウンダーでありCEO。
ショーン今井:14歳で単身渡米。大学卒業後、米企業で10年間勤務後独立。全ての業界からの世界平和プロデュース活動に専念。IMAI CO., L.T.D. / Blind Spot 代表。
三浦和也:レスポンス編集長。


◆キャズムを超えたスマートフォン普及がもたらすもの

三浦:わたしたちはモビリティとITの情報を扱うニュースサイトですが、ナビゲーションやテレマティクスの話題はいったん横に置いておいて、まずはスマートフォンが私たちの生活に与えたインパクトから話を進めて行きたいと思います。そこから日本のカルチャーと「ものづくり」、そしてナビやサービスを含めた今後の展望を描いていきましょう。

まず、スマートフォンを入手したきっかけから女性の代表である富所さん話を聞きたいのですが、私はGSMのiPhoneが発売された瞬間にアメリカの知人に頼んで入手しました。これは世界が変わると。

富所:私はソニーデジタルエンターテイメントという会社に5年ほど在籍して、携帯コミックのプロデュースや小説、音楽、デコメなどを作っていました。今はTwitterBird(Twitterの鳥アイコン)のデザインを手がけたサイモン・オキシレンさんの日本側のマネージメントなどをしています。そのスマートフォンを入手したきっかけですが、私が替えたのは去年なんです。それまでガラケー(フィーチャーフォン)をずっと使っていました。機種変した理由は、ガラケーに不具合があったからという些細なものなんですが。でも、持ってみて、iPhoneってすごいなと改めて気づいたんです。

三浦:新しいものにいきなり飛びつくよりも、熟成されてからでいいと考えるのは当たり前かもしれませんね。

富所:それとお得感が明確だと女性は買っちゃうんです。それから、使い勝手のよい女性向け“無料アプリ”は凄いですね。これ、女性を知り尽くしているからヒットするんです。

三浦:堀淵さんはずっとサンフランシスコ周辺にお住まいということですが、僕は思うんですが、ベイエリアのヒッピー文化とインターネットの文化ってシンクロしてますよね。ヒッピー文化の価値観が今インターネットで世界が覆われているみたいな、フラットでネットワーク志向の考え方やサービスはベイエリアの空気から生まれたものですよね。

堀淵:そう、超シンクロしてます。スティーブ・ジョブズも元ヒッピーだったしね。そういったカウンターカルチャー、既成のキリスト教原理主義とか物質文明に反発するという意識を持った人達から生まれたものだと思いますね。


◆日本発の「かわいい」のポテンシャル

富所:最近爆発的にユーザーを増やしている「LINE」というアプリがありますよね。単なるSkypeの代替的なサービスではなく、もっとコミュニケーションツール的で、170円でキャラクターをダウンロードできるんです。なぜ、女性が使うかというと無料だからという事と、キャラクターがかわいいからです。かわいいは世界的にすごいキーワードになっていて、かわいいを取ったら女性の大半は手に取るのをやめるのではないでしょうか?

三浦:世界ですか? 日本じゃなくて?

富所:はい、世界です。ニューヨークでもかわいい、中国語でもかわいいです。世界共通語です。格好いいよりもかわいいです。キティちゃんの数十万円のバッグが中国でバンバン売れるくらい“かわいい”の力はすごいんです。

廣瀬:ビジュアルとかファッションとかは、アジアや世界に伝染していますよね。AKBもそうだし、きゃりーぱみゅぱみゅとかもそう。アニメもそう。それが世界を結んでいる。

富所:そして、日本のかわいいの対象は擬人化した動物かお姫様。ナメコキャラクターがヒットした理由はこの擬人化にあると考えます。LINEでもムーントークは人間じゃないですよね?また、ペアで出てくるのはクマ(擬人化した動物)です。サンリオのキティちゃんも言ってしまえば、擬人化した猫ですね。

一方、ディズニーのプリンセスはコスチュームと顔は一致するのに王子様は全くダメです。王子様は脇役ですね。“かわいい”がやはりキーなんです。


◆かわいいとワビサビは日本独特の感性

廣瀬:かわいいは昔からある日本独特のワビサビみたいなものなんでしょうね。かわいいという単一的なものではなく、ワビサビとしてお茶の世界でもあるし、クルマの世界にもあると思うんですよ。

三浦:ワビサビの現代版がかわいいですね。粋(いき)という言い方もありましたね。そこを分かってくれる人は、世界にはけっこういると?

廣瀬:男の世界にもかわいいってあるなって。私は、そういった感覚的な要素を商品に入れることによって、お客様に、あっいいな!と言ってもらえると信じているんで、かわいいも商品に取り入れていきたいと思っているんです。


◆日本のケータイは“凄い”って憧れた

三浦:これまでの日本のモノ作りって、ベンチマークが外にあってそれよりも良いものや安かったりといった部分で作っていましたが、これ“かわいいよね”とか“面白いよね”といった、日本人の持つ内なる気持ちで作っていくと、ひょっとしたら日本の製品も変わるかもしれませんよね。

堀淵:日本の伝統を見直すという動きが当然ありますよね、それは、伝統技術、芸能、工芸、そういったものの再評価と、それを軸にした新しいモノ作り、国粋とか右翼化するということじゃなくね(笑)。日本が元々持っているものは凄いので、その部分や軸を生かしていくのが重要じゃないですかね。若い人達が日本の着物文化や茶道、“日本の〜道”を見直したり、地方にある失われていく技術を甦らしたりとか、そこは確実に価値があって、そういったものからのヒントがあらゆる業界で重要ではないかという気がしますね。

三浦:いままでインターネットってマニアックというかいまいちワクワク感というものが足りなかったものが、スマートフォン時代になってなんでこんなに騒いでいるのかというと、手のひらにインターネットがモノやカタチとなって現れたからですかね。

廣瀬:今はソフトな部分がカタチになっているだけで、将来はハードが消えてジェスチャーのように手のひらで操作するイメージを想像しますね。

堀淵:僕はアメリカにいて、まだスマートフォンが登場していなかった時代、日本のケータイは“凄い”って憧れましたね。あらゆるものが付いていて作りも良くて凄かった。それを世界に広めることなく、日本国内でガラパゴス化して進化していったんだけど。そんなところにポンと、オープンな発想でアップルが、圧倒的な操作性とかっこよさ、説明書なしでその日から使えるものを作ってしまった。iPhoneが出たとたん僕は入り込んでいってスマートフォンが当たり前になっちゃった。やっぱり、ああいったものを作ってしまうジョブズってすごいと思う。商品としては電池がすぐになくなったりとか、決して完璧じゃなかったんですけどね(笑)。

廣瀬:僕はアップルのiPhoneやiPodは、音楽カルチャーがカタチになっていると思っているんです。ある雑誌でジミ・ヘンドリクスのビジュアルをiPodのパッケージに使った写真を見たんですけど“なんて素敵なことをするんだ!”と感動したんですね。“僕らはコンピューターを作っているけど、音楽を愛しているんだ”というのを一緒に発信してしまう、そういったところからデザインやアイコンの一つ一つにまでこだわっている、そこのセンスはすごいと思う。

我々のボイスナビゲーションは、あるセンスの部分は違う人達の得意技と考えていて、僕らは安心安全、車の品質に特化して磨いていこうとやってきたわけで、それは商品にも現れていていると思います。ただ、やっぱり世の中はセンスの部分とかカッコつける工夫が求められていると思うので、これからはそういったところを融合しながらいい商品を作っていきたいですね。

三浦:日本のカルチャーが日本製品に反映する時に、ゴスロリの姿をしていれば、あるいはキャラクターの形をしていれば、「日本らしい」ということではないですよね。

堀淵:そうなんですよ。何が日本の価値でそれがどのように生かされたら良いのかを言語化してシステム化できたらいいんですけれど、それは誰かがリードする必要があると思うんです。言語化するというか言葉が重要じゃないかと思っていて、感覚的なものはみんな持っているのでね。

日本にはグローバル化されなきゃいけない価値があると思うので、それを言語であったりメソッドであったりテキストにするには、モノを作っている人達の意識、知力が必要だと思います。今、日本がどうなるか判らない状況にありますが、世の中が変わるチャンスであるし何かが変わっていく時代に差し掛かっていると思っています。おじさん達じゃだめで僕は若い人達におおいに期待してます。



《執筆 鈴木ケンイチ/椿山和雄》
《レスポンス編集部》

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