◆独3社が揃って最高益更新
12日までに出そろった海外自動車メーカーの2011年12月期連結純利益を、足元の為替レートで円換算してランキングした。
ルノーとPSAプジョーシトロエンの仏2社が減益となったほかは、いずれも大幅な増益を確保した。日本メーカーが東日本大震災などの自然災害や円高で大苦戦するなか、通貨安を追い風に世界トップとなったVW(フォルクスワーゲン)などドイツ勢3社や韓国ヒュンダイ自動車、再建が軌道に乗ってきた米GM(ゼネラルモーターズ)が過去最高益を達成した。
外国メーカーの11年純利益(カッコ内は前年比)
1. VW:1兆6905億円(2.2倍)
2. フォード:1兆6575億円(3.1倍)
3. GM:6220億円(62%増)
4. ダイムラー:6099億円(26%増)
5. ヒュンダイ:5673億円(35%増)
6. BMW:5243億円(51%増)
7. ルノー:2288億円(39%減)
8. フィアット:1766億円(7.4倍)
9. PSA:593億円(48%減)
(1ドル=82円、1ユーロ=107円、1ウォン=0.07円で換算)
ランキング1位のVW、2位の米フォードモーターは、いずれも1兆6000億円台を計上した。ただし、フォードは繰延税金資産に関する一時的な会計処理上の利益が124億ドル(約1兆円)含まれており、事業損益で1兆円を突破したのはVWのみとなる。
◆ピーク時のトヨタを超えた(?)VWの収益力
トヨタ自動車の純利益最高額は、リーマン・ショック前の08年3月期にあげた1兆7178億円だった。11年のVWの円換算純利益はこれに及ばないものの、トヨタの08年3月期の為替レート(1ユーロ162円)に換算すると約2兆5600億円になる。ともに自国通貨安という追い風を割り引かねばならないが、VWの収益力はトヨタのピーク時に匹敵ないしは上回る水準に達したと見ることもできる。
VWのみならず、ダイムラー、BMWも6000億円前後の純利益を確保し、独大手3社は揃って最高益を更新した。また、販売台数で4年ぶりの世界トップに返り咲いたGM、5位に付けているヒュンダイも、北米や中国での販売増を背景に過去最高の業績となった。GMは2期連続の黒字確保であり、最高益更新は97年以来14年ぶり。
◆日本各社、上方修正も巻き返しは来期に
GMとともに09年に経営破たんしたクライスラーも1億8300万ドル(約150億円)の純利益を確保し、米3社は揃って黒字となった。同社は11年6月から伊フィアットの連結対象となっており、フィアットの業績改善にも寄与した。
海外メーカーから決算期が3か月ずれる日本各社の12年3月期純利益は日産自動車の2900億円を最高に、大手3社はいずれも2000億円台の予想となっている。2月中旬から円高に歯止めがかかったことや、災害時からの挽回生産が順調に進んでいるのを背景に、いずれも上方修正が必至だ。それでも米独韓各社のレベルには遠く及ばず、巻き返しは来期以降となる。