トヨタから4月6日より発売が開始される『86』は、あの“名車”を横に置きながらデザインされた。
その名車とはトヨタ『2000GT』だ。1967年から1970年にかけて生産された非常に流麗なデザインのスポーツカーで、計337台が作られたと言われている。トヨタのイメージリーダー的存在のこのスポーツカーは、価格も非常に高く、当時クラウン2台分に相当する238万円であった。
デザイン本部トヨタデザイン部グループ長の古川高保氏は、「クレイルームに1か月ほど置いて、モデラーやデザイナー全員がその雰囲気を感ながらデザインしました」と振り返る。
「その目的は面質の雰囲気を味わいたかったのです。もちろん、グラフィックスなどのニュアンスもありますが、一番は、面質や、そして、オーラを感じたかったのです」と話す。「(2000GTは)写真と実物は全く違う。そこが大事。本物を感じる必要があったのです。86はスポーティではなくスポーツカーを作ろうとしていましたので、そこにこだわりました」(古川さん)。
インテリアを担当したデザイン本部トヨタデザイン部グループ長の遠山正起氏も、「(2000GTの)パッションを86に受け継ぐということを踏まえて、2000GTの要素を取り入れています」という。その一例として、「助手席正面からセンタークラスターあたりまでのデザインは、2000GTのウッドパネルのシルエットをモチーフにしています」と語った。