【池原照雄の単眼複眼】トヨタ、3位から首位奪還へ‥‥世界販売ランキング

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◆900万台乗せのGMが4年ぶりトップに

2011年に世界で500万台以上を販売した6企業グループのランキングをまとめた。米GM(ゼネラルモーターズ)が4年ぶりにトップに返り咲くとともに、独VW(フォルクスワーゲン)も前年の3位から2位に浮上した。3年連続首位だったトヨタ自動車は、東日本大震災などによる減産で3位に後退、12年は過去最高の販売で首位奪還を目指す。

11年の4~6位の順位は前年から不動だったものの、4位の日産自動車・仏ルノーグループと、5位の韓国・ヒュンダイ自動車(傘下の起亜自動車含む)は前年に続いて2けたの伸びを確保し、ともに過去最高を更新した。

2011年の新車販売ランキング(500万台以上)
1位(2位):GM 903万台(+8%) 
2位(3位):VW 816万台(+14%)
3位(1位):トヨタ 795万台(−6%)
4位(4位):日産・ルノー 739万台(+10%)
5位(5位):ヒュンダイ 660万台(+15%)
6位(6位):フォード 570万台(+7%)
順位のカッコ内は前年順位、台数のカッコ内は前年比増減率%

◆大手各社による寡占化傾向進む

11年の新車需要は、1851万台だった中国が3年連続で世界最大となったものの、伸び率は前年の32%から3%へと大幅に減速した。新興諸国ではロシアが39%増だったのを除けば、世界4番目の市場であるブラジルが3%、インドは8%の成長と総じてブレーキがかかった。

先進諸国も米国が10%増の1278万台と着実な回復を見せたものの、震災の打撃を受けた日本は15%減の421万台、債務危機の欧州(EUおよびEFTA30か国)は1%減の1357万台と振るわなかった。仏PSAプジョーシトロエンは、11年の世界市場の成長率が3%にとどまったと推計しており、総じて市場の伸びを上回った大手各社による寡占化傾向が一段と進んだ格好だ。

こうしたなか、昨年は中国および米国で販売を伸ばした企業グループの躍進が鮮明になった。07年以来の900万台乗せとなったGMは北米が11%増の292万台、前年に続いて最高を更新した中国は8%増の255万台だった。2位のVWも中国が17%増の225万台、北米は21%増の67万台といずれも大幅に伸ばした。VWは10年に714万台と初めて700万台に乗せていたが、1年で再び大台を更新した。

◆今年は950万台規模を目指すトヨタ

日産・ルノーは日産が14%増の467万台、ルノーが4%増の272万台と、それぞれ最高を確保した。日産はメキシコを含む北米が14%増の135万台、中国が22%増の125万台、欧州では25%増の70万台と、日本を除く世界の主要市場で大幅な記録更新が相次いだ。

日産・ルノーは、近くロシアのアフトバズ(11年販売実績64万台)の株式の過半を取得する計画であり、12年のグループの販売は800万台を超えてVWと並ぶ規模となる見通しだ。10年に米フォードモーターを抜いて5位に付けたヒュンダイは、昨年も15%の成長を確保し、初めて600万台を突破した。今年は品質重視で、販売計画はスローダウンするものの6%増の700万台を狙う。

トヨタは昨年、世界の上位6社で唯一マイナスとなったが、生産の制約が解消した12年は一大攻勢をかける。トヨタおよびレクサスブランドの単体ベースでは21%増の858万台と、過去最高だった07年の843万台を上回る計画を打ち出した。目標に届けば、ダイハツ工業と日野自動車を含むグループでも950万台規模と07年の937万台を上回って最高を更新し、首位奪還も見えてくる。

《池原照雄》

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