【新聞ウォッチ】中国の新車販売は“減速”、東風日産は“加速”

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東風日産 クエスト(広州モーターショー11)
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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2012年1月13日付

●きょう内閣改造、岡田氏副総理に、一体改革相兼務、平野氏は文科相(読売・1面)

●「海外企業買い」最多、超円高が追い風(読売・11面)

●中国新車販売が減速、補助金廃止2.5%増止まり、1850万台、世界一は守る(朝日・8面)

●ペア統一要求を3年連続見送り、自動車総連(朝日・8面)

●海外経験の機会、「4年目までに」ヤマハ発動機、社員に(朝日・10面)

●ロシア新車販売昨年は39%増(日経・6面)

●米家電見本市で競演、車とIT、融合加速(日経・9面)

●車部品生産能力2割増、日本特殊陶業、岐阜に新工場、14年に稼働(日経・9面)

ひとくちコメント

中国自動車工業協会が2011年の新車販売台数を発表したが、前年より2.5%増の1850万5100台だったという。米国を570万台上回り、中国市場は3年連続世界一となった。この中国の販売台数と伸び率を巡り、きょうの各紙がそれぞれの視点で取り上げている。

そこで、各紙の見出しをみると、まず、読売は「中国の新車販売3年連続世界一」と、シンプルな表現をしているが、朝日と毎日は「中国新車販売が減速」とまったく同じ。日経も「減速鮮明」とし、産経は「13年ぶり低調」としている。東京は、もっと過激で「減速」を通り越して「急ブレーキ」と付けた。しかも、それを裏付けるように「1昨年32%増→昨年2.5%増」と具体的な数字をサブ見出しにしているのでわかりやすい。

さて、中国の新車販売が32%も増えた前年から急ブレーキがかかり、13年ぶりの低い伸びとなったのは何故か。各紙とも「小型車対象の減税策打ち切りやインフレ阻止のための金融引き締め策が主な要因」(朝日)と分析している。

そんな中、減速傾向の市場の動きに関係なく、台数を大幅に伸ばしたメーカーもある。興味深いのは、中国紙によると、台数こそ1000台余りと少ないが、高級車のロールスロイスが前年比67%増となって、中国が米国を抜いて世界最大となったと、朝日が伝えている。

日系メーカーでは日産自動車の21.9%が際立つ。毎日は、昨年末、広州市の日産と現地メーカーの合弁会社「東風日産」の販売店を取材した時の模様を「開店直後から多くの客でにぎわう」としながら、郭小龍店長は「ライバルは日本車でなく、米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)だ」と自信を見せると、取り上げた。

日本勢でも、トヨタ自動車は4.3%増にとどまり、ホンダは4.5%減とマイナスに転じた。中国進出では日産は後発だが、これまで大型トレーナーを宣伝車に改造し、沿岸地域よりも内陸部の未開の地方都市を攻める移動イベントなどを実施。こうしたブランドの普及と企業イメージのアップを狙った地道な販促活動がプラス効果を生んだようだ。

急ブレーキがかかったとはいえ、年間2000万台に迫る世界一の市場は魅力的である。これからも中国での戦いぶりが各メーカーの業績に大きく左右することは間違いない。

《福田俊之》

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