新型『インプレッサ』でよりなじみ深い5ドアハッチバックモデルは今回、セダンの「G4」に対して新たに「SPORT」と呼ばれることになった。かつてないスタイリッシュさと上級上質感を醸し出すハッチバックボディで注目すべきはルーフ後端である。ルーフ後端部分にふたつの“こぶ”があることに気付いただろうか。実はこれ、空力的に優れるスムーズなルーフラインと荷室の容量を両立させるため、本来は内側にあるバックドア上部のヒンジを外側(ルーフ上面)に出したからなのである。結果、荷室容量は先代の301リットルからいきなり380リットルまで拡大。9インチゴルフバッグが3セット、機内持ち込みサイズのキャリーバッグ5個を積めるようになった。パワーパッケージはセダン同様、いずれも水平対向の新開発1.6リットルと2リットル+CVTが基本。駆動方式はそれぞれにAWD/FFが用意される(1.6リットルのAWDにのみ5MTも)。10・15モードは1.6リットルのFF車で最高20.0km/リットルを達成しているのはセダンのG4同様だ。最初に乗ったのはスポーティグレードの2.0i-S(FF)。タイヤは205/55R17サイズだ。アイドリングストップは2リットルモデル全車に装備され、i-Sにはファブリック&合皮のコンビシート、アルミパッド付きスポーツペダル、マルチインフォメーションディスプレイなども備わる。乗り心地はセダンのG4で乗った1.6リットルモデルとくらべ約40kg重くなるため、よりストローク感ある重厚なタッチになる。ただし17インチタイヤはゴツゴツした硬さが中低速域で気になった。段差越えなどでのショックや音も大きめだ。「ターボモデルでもないのにちょっと硬すぎだろ」と言ってしまいたい。ちなみに新型インプレッサにはターボモデルはない。そこで続けて16インチタイヤの2.0iに試乗。すると上質極まる乗り心地とスバルらしい操縦性の見事なバランスに唸らされた。そう、ゆったり走れば新型ならではの、インプレッサ史上最上の快適感や静粛性に大満足できるわけだけど、一方、ほとんどスポーツカーに近い低重心がもたらす地に足のついたソリッドな操縦感覚さえ味わえるのだからさすが。ゆえにベストタイヤは2リットル車の場合、16インチと言ってしまおう。動力性能は最初、かなり穏やかに感じられるかも知れない。出足、低回転域ではアクセル操作に対して飛び出し感覚のない、ゆったり軽快に加速させる燃費性能にこだわった設定だからだ。街乗りで1.6リットルモデルとの動力性能差を感じにくいのはそこが理由なのだが、しかし、ひとたびアクセルを深々と踏めば、なるほどフラット4、2リットルらしい鼓動を伴った余裕ある加速力を披露してくれる。ごく低く搭載されたエンジンは「しっかりアクセルを踏まないと、持てる力を出しきらないよ。回してフラット4の回転フィールを楽しんでね」と語りかけてくるようだ。最後に荷室のトリビアを紹介しよう。開口部高は地上690mmとセダンのG4より10mm低いだけで、開口部とフロアにはけっこうな段差があるものの、フロアボード手前を持ち上げ固定すると段差を最小限にできるのだ。そうすれば重い荷物の出し入れはグッと楽になる。。そうそう、大型犬などペットを乗せる場合は大開口のリヤドアから。純正OPとして用意されるハンモック状のパートナーズカバーを敷いて後席に乗せれば室内の汚れは最小限。ジッパーを一部開ければ人が乗車することもでき、愛犬と並んで座れるから楽しく安心。また、リヤドアから愛犬を乗せ、片側だけ倒した後席背面部分を廊下にして荷室へ歩いていかせることもできる。その際の荷室用カバー、マットも充実しているから文句ない。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★フットワーク:★★★★★ペットフレンドリー度:★★★青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組も手がける。
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