日産自動車が今年の東京モーターショーに参考出品する『PIVO3』は、過去2世代のPIVOと比べると常識的になりつつも、インホイールモーターの採用という点では前作PIVO2と共通している。この点について、先行車両開発部主管の田部昌彦氏に訊いた。
「インホイールモーターの長所のひとつは、ドライブシャフトが不要なのでハンドル切れ角を大きく取れることです。『PIVO3』の場合は75度まで切ることが可能です。その長所を生かす形で、従来のようなキャビンを回転させる方式ではなく、4WS(4輪操舵)を組み合わせることで、最小回転半径2mという数字を実現しました」。
PIVO3では4WSと2WS(前輪操舵)を状況に応じて使い分ける設計になっている。フロントよりリアの車幅が狭いボディは、一般的な2WSでも小回りが効くように、内輪差を最小限に抑えるための措置だという。PIVO3では自動運転も考慮しているが、この場合も2WSを想定しているとのことだ。
「シート配置を前席1、後席2名掛けの3人乗りとしたのは、前輪の切れ角を大きく取り、なおかつ全長を2800mmと短く収めようとすると、前席は大きめのタイヤハウスの内側に収めることが理想となるためです。そこで1+2というシート配置を選択しました」。
ちなみにバッテリー容量は『リーフ』の約半分で、航続距離は100km、最高速度は120km/hを想定しているとのこと。いずれもシティコミューターとしては十分な数字だ。充電時間は一般家庭電源で約4時間だという。