かねて建設中だったメルセデスの「北京アドバンスト・デザインセンター」が完成し、21日に正式に開所した。同社のデザインスタジオとしては本拠地のドイツ・シュツットガルト、イタリアのコモ、米国のカリフォルニア、日本の横浜に続く5番目。シュツットガルトを除けばアドバンスト・デザイン、つまり次世代ないしはもっと先のクルマを見据えたデザイン提案に特化しており、北京のスタジオもそこに専念する。
「ダイナミックで活発な大都市である北京は、次第に未来のデザイントレンドを形作るようになってきており、ここにアドバンスト・デザインセンターを設立するのはタイムリーだ」と語るのは、副所長として実務を取り仕切るオリビエ・ブーレイ。
そして、こう続ける。「デザイナーは“未来に生きる”必要があり、都市計画やインフラ整備を含めて未来のモビリティのあらゆる側面を考慮しなくてはいけない。この新しいスタジオは、商業的な制約なしに想像を広げるクリエイティブな環境を我々にもたらしてくれる」
オリビエ・ブーレイは1989年にスバルにヘッドハンティングされて2代目『レガシィ』をデザイン。1992年にメルセデスに復職すると横浜スタジオを設立し、マイバッハなどのデザインを担当した後、ダイムラー傘下の三菱自動車でデザイン本部長を務めた。2004年に横浜スタジオに戻り、2009年からは北京で新デザインセンターの開設準備を進めてきた。
昨年のパリサロン(パリモーターショー)で発表されたスマート『eスクーター』は、電動バイクが普及している中国市場を背景に、スタジオ開設準備のかたわらでブーレイのチームがデザインしたものだ。日本で多くのキャリアを積んできた同氏が、新天地の北京で見せる活躍に期待だ。