【パナソニック ゴリラ CN-GP710VD】トップブランドとしてワイドVGA&地図更新という“次の一手”を提案…マーケティング担当

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「ゴリラ」初のワイドVGA化を実現した7型モデルのCN-GP710VD
  • 「ゴリラ」初のワイドVGA化を実現した7型モデルのCN-GP710VD
  • 交差点拡大イラストもワイドVGAの恩恵でリアルかつとても見やすい。
  • パナソニック ゴリラ GP710VD
  • パナソニック・オートモーティブシステムズ社 マーケティンググループ マーケティングチーム 川原正明氏
  • パナソニック ゴリラ GP710VD
  • ワイドVGAの採用で地図の表現力や見やすさは格段にアップした。
  • パナソニック『ゴリラ』CN-GP710VD/GP510VDに新採用された電子ガイドブック「るるぶDATA」
  • すべて汎用のイラストを流用するのではなく、主要なIC/JCTでは専用に起こされたイラストが出る。大容量SSDを搭載するモデルならではのリッチさだ

パナソニックのポータブルナビ『ゴリラ』にワイドVGAモデル『CN-GP710VD』『CN-GP510VD』が登場した。

SSDを搭載し地図更新に対応するなど、ナビ機能をさらに強化した最新モデルとして登場したゴリラシリーズの最上位機種である両モデル。その狙いはどこにあるのか。パナソニック・オートモーティブシステムズ社マーケティングチームの川原正明氏に新製品の特徴や市場戦略について聞いた。

◆ポータブル機の分野で“次の一手”を他社に先んじて打つ

----:今回ゴリラに7型ワイドVGAモデルが追加されました。AV一体機に迫るナビ機能を持つポータブル機となりますが、投入の狙いは。

川原:三洋電機の市販カーナビがパナソニックとブランド統合したことにより、当社はポータブルナビゲーション市場で50%強のマーケットシェアを持つようになりました。その中で、これまでの両者の特徴や強みを活かした新製品を考えたとき、“次の一手”を他社に先んじて打つ必要がありました。

----:これまでのポータブルナビにはない商品企画が必要になってきた、と。

川原:ええ。ポータブルナビ(PND)が市場に出たころは、手軽さや価格の安さが評価され、セカンドカーやこれまでカーナビにあまり興味のなかった層の掘り起こしになりました。この初期のPNDユーザーはいわばエントリー層であり、複雑な機能やグラフィカルな案内表示よりも、簡単に設置できることや値ごろ感を追求していたといえるでしょう。

このときの、第1期とも呼べるPNDユーザーが、ちょうど買い換えを考えている時期にあたるのが現在だと思います。PNDも機種が増えているので、古いモデルの機能に物足りなく感じている人は多いのではないかと考えました。

----:ユーザーの進化に合わせて高性能なPNDの市場もあるということですか。

川原:そうですね。PND=エントリーモデルというくくりで済む時代ではないと思っています。ゴリラの競争力のある価格帯を維持し、ワイドVGAといった高機能を両立させました。もちろんジャイロセンサー搭載やGPS精度のアップ、多様な案内表示などナビとしての性能も据え置き型ナビに匹敵するほどです。筐体デザインも洗練されたイメージを大切に、全体の質感にもこだわりました。

◆年6回の差分地図データを提供

----:ステップアップを意識したということで、本体の拡張性などはどうでしょうか。

川原:バックカメラの増設、歩行ナビとしての増設バッテリーなど充実させていますが、やはり使い勝手に直結する無料地図更新サービスを強調したいと思います。

内蔵SSDには8GBモデルと16GBモデルがあります。地図や地点情報などの全体の更新はSDカードを販売する形で可能ですが、市街地図を除く道路地図や音声案内、案内画像データの追加などは、最大3年間無料(※)で更新できるようにしました。差分の地図データの配信はインターネット経由で行うのでPCが必要ですが、購入から3年は無料で地図のメンテナンスができるというのは、パナソニックとしても始めての試みです。(※2014年7月31日まで)

----:更新頻度はどれくらいの予定ですか。

川原:差分情報の配信は年6回を予定しています。有償のSDカードによる全データの更新は従来通り1年ごととなります。

----:スマートフォンなど新しいデバイスによるナビゲーションも登場してきていますが、それらは脅威になりますか。

川原:競争の激しい市場ですが、そこは専用機である強みを活かした戦略で対応しています。GPSの測位もさらにクイックにし、電源を入れてから10秒ほどあれば測位が完了します。移動中も0.2秒ごとに測位し、自車位置のトレースも細かく行っています。ルートガイドだけでない情報サービスもスマートフォンのアプリに負けていません。4月にリニューアルした「おでかけ旅ガイド」にも対応していますが、このサイト自体、ジャンル別検索機能の追加や、常時4000件の最新イベント情報を掲載するなど、使い勝手をさらに向上させています。イベント情報は毎日更新されています。

◆販売店チャネル対応は全方位で

----:パナソニックと三洋電機との統合で販売店へのアプローチに変化はありますか。

川原:ポータブルナビではこれまでパナソニックは家電ルート、三洋電機はカー用品店ルートがそれぞれ得意なチャンネルでした。今回の統合でパナソニックは家電量販店、カー用品店、通販という3つのチャンネルを広く網羅することができました。また商品ラインナップもこれまでと同様、チャンネルに対応した専用モデルを用意しています。家電量販店ではより値ごろ感が重視され、カー用品店では機能面も重視されますから、SSDの容量・画面サイズ・VICSやワンセグ機能など、いろいろな組み合わせのラインナップを用意して、細かいニーズに応えるようにしています。

----:裾野を広げるだけでなく高機能志向ユーザーも取り込むというローエンドからハイエンドまでのラインナップにより、さらにシェア拡大を目指すという戦略ですか。

川原:というより、買い換え需要をきちんとフォローして既存のユーザーをしっかりサポートしていくことが重要であり、他社の市場を奪うといった直接的な競争はあまり意識していません。シェアを拡大するとすれば、カーナビ以外の市場や、これまでカーナビを使っていない人の市場へ拡大していくことを考えています。保有台数の比率で見ても、テレビや携帯電話の普及率と比較しても、カーナビやPNDの市場はまだまだリーチできていない層のほうが多いわけですから。

----:「旅ナビ」のような用途特化型ナビゲーションも今後の可能性としてはある、と。

川原:昨年導入した「旅ナビ」は、おかげさまでシニア層へナビの市場を広げることに成功しました。街歩きや観光地での地図兼ガイドブックとして利用していただいているようです。このように、当社のロケーション技術をカーナビだけでなく新たな顧客層に簡単で新しい使い方をご提案することで、アプリインストールが必要なスマートフォンより操作が簡単な専用機のメリットを活かして、新しい市場に展開していきたいと考えています。

《聞き手 北島友和/中尾真二》

《中尾真二》

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