BMW 320i 燃費レポート…16.9km/リットル、まだまだ伸びる

エコカー 燃費
BMW 320iセダン試乗イベントで燃費をチェック。16.9km/リットルのカタログ値超えを達成。
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  • BMW 320iセダン
  • エコドライブのコツをレクチャーする大角氏
  • 巡航速度に達するまでの時間を短くすることで無駄な燃料消費をなくす
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BMWジャパンが開催したメディア試乗会で、BMW『320i』のATモデルをテストドライブする機会を得た。MTと違ってアイドリングストップ機構は装備されていないが、10・15モード燃費15.2km/リットルという数値は、車両重量1.5t級の2リッターセダンとしては相当良い部類に属する。

◆「しっかり加速」「無駄な操作しない」…エコドライブのコツ

ドライブ前、BMWのドライビングトレーニングのインストラクターを務める大角明仁氏が、エコドライブのコツについて簡単に解説してくれた。2大ポイントは、加速と道路状況の予測だ。発進加速時に目標となる速度を超えてしまい、巡航前にアクセルを抜くといった操作をすると、エンジンの回転変動に無駄なエネルギーが使われてしまうという。目標の速度に到達する少し前からスムーズにアクセルペダルを緩めていくのがエコドライブに効くという。

もう一つは加速の強さ。加速時はかなりの燃料を消費する。ドライバーの中には燃費を気にしてじわじわ緩加速をする人も少なくない。が、エンジン車は一般的にクルマは緩加速時も意外に多くの燃料を消費する。あまりに加速が弱いと、燃費の悪い状態で走る距離が長くなってしまい、燃料消費量がかえって多くなってしまう。そのため、ある程度潔く加速したほうが燃費にはむしろプラスだというのだ。

ほか、スロットルばかりでなく、ステアリングの切り戻し、ブレーキの踏力など、クルマの操作のすべてにおいて、無駄な操作をしないということが大事だという。ステアリングの切りすぎはクルマの運動エネルギーを失う原因になるため、無駄に切らないようにするというのは、レースではよく知られているドラテクの基本中の基本だが、一般道でも原則は変わらないようだ。また、運転中は近くだけでなく、常に遠くを見るようにすることも重要。交通状況や信号を見て、慣性走行で行けるのかどうかを見定めるのも、燃費向上には欠かせない。

◆レインボーブリッジから海ほたるへ、約60kmのドライブ

こういった説明をひと通り受けて、320iに乗り込む。エンジンをスタートさせると、アイドリングの静かさに驚く。昔のBMWが停車時からかなり威勢のよいエンジンフィールであったのとは、およそ異なるイメージだ。

地下駐車場から急勾配を登ると、ATのセッティングに関する考え方が日本車と根本的に異なることに気付かされる。2リットル級の日本車の多くは、駐車場出口のような急勾配では、低速走行でもエンジン回転数3000回転/分程度をキープする。とりわけCVT車はエンジン回転数が上がりやすい傾向が強い。それに対して320iは、1500回転前後をキープし、そのぶんスロットルが開け気味になるセッティングだ。

欧州のドライバーはキックダウンを極端に嫌うケースが多いためにそういう設定になっているということは容易に想像ができる。どちらの方法がエネルギー効率がいいか正確なデータは持ち合わせていないが、考え方の違いは興味深い。

ドライブコースは東京駅近くのBMW本社ショールームを出発し、近隣の入船橋ランプから首都高速道路に乗り、レインボーブリッジ、湾岸線、東京湾アクアラインを通って東京湾上のうみほたるで休憩。その後、おおむね逆コースを通ってBMW本社に帰着するというもの。道のりは片道30km強である。

◆余裕のカタログ値超え、まだまだ伸びる!?

スタート直後は右折、右折の連続で信号に引っかかっている時間のほうが走っている時間よりずっと長いため、手動でアイドリングストップしたい衝動に駆られるほど。BMWは他の欧州車の多くと同様、キャパシタに電力を蓄えておき、スターターを回してもオーディオや計器、カーナビなどへの給電が止まらないように設計されており、手動ストップはそれなりに効果があるものと思われたが、あえて停止させず。

が、首都高ランプ入り口までの短距離であっても、少し流れがよくなるとメーターパネル内に設置された平均燃費計の数値はぐんぐん上がる。新世代のエンジン、ATらしい効率の高さだ。高速に乗る時点での平均燃費は10km/リットル弱であった。

首都高に乗ってからは、BMWのドライビングインストラクターが運転するペースカーについて走る。新世代BMWは騒音、振動が非常に低く設計されているが、より快適なのはやはり高速巡航である。エンジン音はキャビンとの隔壁で非常に上手くカットされ、巡航時は非常に静か。またロードノイズも小さい。燃費のほうはというと、低速運転というほどではないが、交通の流れの速さはタカが知れている首都高だけに数字が大いに伸びる。燃費計の数値はたちまち13km/リットルほどに。

湾岸線の東京港トンネルを抜け、東京湾アクアラインに入る頃にはリッター15km台に突入。アクアライン内は交通の流れが首都高に比べてかなり速めだが、アクアライン内でさらに燃費を上げ、海ほたる到着時には燃費は実に16.9km/リットルをマークしていた。余裕のカタログ値超えである。3名乗車、エアコンON、しかも事前のアドバイスは参考にしたものの、特に“我慢”をすることなく普通に走ってこの数値は立派と言える。

帰路はドライバーチェンジしたが、帰着時の数値も16.9km/リットルだった。このあたりが高速道路を平和に巡航したときの燃費の目安と考えてよいだろう。信号の少ない地方道ではもう少し良くなりそうだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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