日産自動車が昨年12月にリリースした量産型EV『リーフ』。その市販モデルのマスメディア向け試乗会が横浜の同社グローバル本社で行われた。市販モデルはプロトタイプに比べ、さらに熟成が図られたという。三浦半島界隈を中心に100km弱を走り、仕上がりをチェックしてみた。
リーフのプラットホームは、大量のバッテリーを床下に巧みに抱え込むEV専用設計。フォルクスワーゲン『ゴルフ』をはじめ、欧州Cセグメント相当のボディサイズでありながら、JC08モード走行で200kmというEVとしては長い航続距離と、5名乗車が可能な室内空間を両立させている。
その室内の居住性だが、快適性が高いのは前席。パワートレインからのノイズの少なさはEVならではと言えるが、それだけではない。「ヘッドランプを立体的に仕上げて気流を制御し、ドアミラーの風切り音を減らした」(日産関係者)といった努力が随所に払われているとのことだが、その効果は高速走行時に如実に体感できる。
パワートレインの騒音や風切り音が小さい分、ロードノイズが相対的にうるさく感じられるのは惜しまれるポイント。また、乗り心地も良好ではあるが、ファミリーカーの域を出るほどのものではなかった。この2点について大幅にレベルアップさせれば、小さな高級車として高価な車両価格を補助金なしでも受け入れるユーザーが増える可能性は十分にあるだろう。
コンパクトEVという仕立てのしわ寄せを食らっているのは後席。3ナンバーの車幅であるため横方向にはゆとりがあり、また数字上は足元空間のゆとりも悪くない。が、実際にはバッテリー搭載スペースを稼ぐために床が高くなっており、着座姿勢が体育座り気味になることを強いられてしまう。また、床の高さゆえに前席の下に足のつま先を入れる隙間がまったくないことも窮屈さを感じさせられるポイントだ。軽自動車クラスのEV、三菱『i-MiEV』と比較すると、5名乗車が可能である点や横方向のスペースではリーフが、後席の自然な着座姿勢ではi-MiEVが優れているといったところだろう。