トヨタのグローバル戦略の中核を担うコンパクトモデル、新型『ヴィッツ』。新型1.3リットルエンジン+アイドリングストップシステムで10・15モード燃費26.5km/リットルを達成するなど、エコノミー&エコロジー性の高さがウリだ。そこで新型ヴィッツを東京都心でショートドライブし、エコ性能を試してみた。
試乗時間が限られていたため、コースは短く設定した。東京プリンスホテル前を出発し、皇居をぐるりと巡る、全長9.6km。試乗したのが午前中で、混雑度はそれほどひどくなかったが、それでも信号間隔が短く、ゴー&ストップを繰り返すという条件は燃費にとっては結構ハード。
試乗車はすべてFWD(前輪駆動)のCVT車で、装備充実の「1.3U」、ベーシックグレードで3気筒エンジンを積む「1.0F」、そしてアイドリングストップシステムが実装された「1.3F“SMART STOPパッケージ”」の3台だ。新型ヴィッツには燃費や平均車速などの運転情報が表示されるマルチインフォメーションディスプレイが装備されており、数値はすべてその表示上のものである。
結果は1.3Uが、平均車速19km/hで17.1km/リットル、1.0Fが平均20km/hで18.9km/リットル。そして1.3Fスマートストップパッケージは平均20km/hで20.2km/リットルと、リッター20km超えを果たした。ドライブは決して飛ばしたわけではないが、後続車に迷惑をかけるような緩加速や慣性走行をしたわけでもない。ボディが一回り小さかった旧型モデルと比べても、燃費スコアはかなり良いというのが率直な印象だ。
好燃費を出しやすい最大の理由は、「損失をできるだけ減らすよう、制御のやり方を大幅に変えた」(製品主幹・菅野伸介氏)というCVTのセッティングだ。1.3リットルの場合、都市部の交通モードによくある緩加速程度ならば1000~1200回転/分と、アイドリングよりちょっと上という低回転域をキープしたままこなすことができる。1リットル3気筒は旧型モデルからの持ち越しエンジンだが、こちらもCVTの改良の恩恵は十分以上に受けているように思われた。発進から20km/hあたりまでは少しだけ高めの回転を使うが、その後はやはり低回転を積極的に使っていた。
CVTといえば、以前はアクセルを踏むとエンジンの回転がぐーんと上がってから加速が始まるといったセッティングが主流だったが、今日ではこのように、低回転トルクを積極的に使うようにしつけられるケースが増えた。ヴィッツのCVTのエコランのやりやすさは、数あるライバルと比較してもトップクラスに位置すると思われる。
ディーラーでの試乗のさいには、発進時にトルクコンバーターが噛み付いて微速前進を開始したしたタイミングでじわっとアクセルを踏んでみるなど、いろいろとエコランのテクニックを試してみるのも一興だ。