『308』をベースにSUVやミニバンとのクロスオーバーを目指したクルマとのことながら、駆動方式はFFのみだし、シート配置も2列5人乗りのみだから、クロスオーバーといってもちょっと違った印象のクルマである。大柄なボディのモノスペース車だ。
外観デザインはかなりアグレッシブなフロント回りが特徴。大きな格子グリルが目をひく。インテリアは思い切りドライバーオリエンテッドのデザインを採用したのが特徴。インスト中央部分に並ぶ上下に動かすトグルスイッチはMINIを連想させる。
搭載エンジンはBMWとの共同開発による1.6リットルの直噴ターボと電子制御6速AT。この新世代パワートレーンはとても具合が良い。
わずか1400回転の段階から240Nmのトルクを発生するので、大きめボディでかなり重い『3008』のボディを楽に引っ張っていく。トルクの太さによる余裕の走りが楽しめる。
足回りがこれまた良くできている。SUV系の車種にありがちな硬めの乗り味ではなく、むしろプジョーらしい乗り心地の良さが感じさせるのに、それでいてコーナーなどで不安定な挙動を示すことがない。高めのアイポイントが苦にならないのだ。
問題点は1800mmを超える全幅。日本での使い勝手を考えるとちょっと大きすぎる。最小回転半径は5.5mに抑えられているのが救いか。プレミアムで339万円の価格もFF車であることを考えるとやや高めだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。