コンセプトカーの段階では面白くても、開発中に外野からあれこれ口出しされて、発売時にはつまらないクルマになっていた……という話はよくあるが、『ジューク』はそうならなかったところが偉い。
居住性や実用性を求めるとこのデザインが成立しないところだが、開発陣がいさぎよく割り切り(それでも一般的な使用には十分こと足りる)、独特の雰囲気を崩すことなく世に出てきてくれてよかった。
価格もそれほど高くないし、このデザインが気に入ったなら、旬なうちに少しでも早く手に入れたいところだ。
走りについては、ショートホイールベースでワイドトレッドかつ背が高く、しかも大径タイヤを履くためバネ下が重いなど、難しい要素の重なったクルマであるわりには、あまり気になるところもないように仕上がっているところもいい。
動力性能も、新しい副変速機付きCVTのおかげで、少々リニアさには欠けるが、1.5リッターとは思えないほど低速でのトルク感もあるし、大人しく運転していれば1000回転のちょっと上をキープするので、実燃費も上々だ。
若者向けのクルマかと思いきや、市場の反応は意外とそうでもないらしく、各世代でほぼ均等に散っていて、中高年ユーザーの比率もかなり高いとか。それもわかる気がするし、個人的にも大いに応援したい気持ちになった1台。
もし買うとしたら、ボディカラーもインテリアも迷わず赤を選びます!
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジンの編集部員、自動車専門誌の記者を経てフリーランスとして独立。ユーザー目線に立った視点と、幅広い守備範囲を自負し、「クルマ好きのプロ」として、近年は WEB媒体を中心に活動中。レスポンスの試乗コメントでは、他媒体では諸事情で書きにくい「本音」も吐露!?