【プジョー 3008 試乗】こんなライオンを待っていた…青山尚暉

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3008
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プジョー『308』の派生車である『3008』はいわゆるハッチバックとSUVをクロスオーバーさせた、3桁シリーズとは違う、かつてあった『1007』同様の個性派モデル。そのルックスはずんぐりした塊感、SUVをイメージさせるアンダーガードや樹脂ムキ出しのバンパーなどが新鮮。
 
しかしそれ以上に3008らしいのはインテリア。インパネ回りにはスイッチ類がメカニカルにこれでもか!と並び(トグルスイッチは7連装/そのすべてが絶対必用と思えないが)、クルマというよりは飛行機のコクピット感覚。かつてサンタモニカエアポートで操縦したボーイング737のシミュレーターを思い出す。スイッチ操作でドライバー正面にヘッドアップディスプレイが立ち上がってきたり、前車に追いつくのにどのぐらいの時間がかかるか教えてくれたりと、ちょっぴり未来のクルマ感アリだ。

ドラポジは本格SUVほどは高くないにしても、初代/2代目『オデッセイ』と同じぐらいの高さがあって視界は高く爽快。全車標準のパノラミックガラスルーフとの相乗効果で室内は実に明るい。後席はこのクラスとして平均的な広さながら、やっぱり視界が高く明るいため、実際のスペース以上の広さを感じる。

ついにフツーに変速してくれるようになった6ATを得た3008の走りはプジョーらしくあくまでもフラットで、意外にも「308よりいいんじゃないですか?」と思える体に優しい乗り心地が基本。この車高(1635mm)だけに気になるカーブでのロールは、しかしごく穏やかでそのスピードが遅いため、ロールしきる前にカーブをクリア。ロールをほとんど感じずに済んでしまう不思議な感覚だ。クルマ酔いしにくい乗り味、とも言えそう。

1.6リットルのターボエンジンは2000回転前後から豊かなトルクを発揮。スムーズに回転を上げ、動力性能は「速すぎる」ほど。街乗りシーンを2000回転以下でこなしてくれるのは6AT&ターボの面目躍如といったところ。よって静粛性も高い。

車幅は1835mmとワイド。国産ミニバンの頂点に立つ『アルファード』&『ヴェルファイア』並みだ。でもドアミラーが張り出していないので、ミラー・トゥ・ミラー幅はそれほどでもない。見た目より小回りが効く(最少回転半径5.5m)こともあってけっこう扱いやすいのだ。
 
これまでにないタフでアクティブでメカニカルなプジョー。こんなライオンを待ってた人、少なくないんじゃないかな。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
東京都出身。自動車専門誌編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌、一般誌、ウェブサイトなどに寄稿。試乗記、購入ガイドなどの執筆のほか、コンパニオンアニマルとしての愛犬と楽しむ快適自動車生活を各方面で提言中。

《青山尚暉》

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