レクサス『HS』を、プレミアムでトラッドなトヨタ『プリウス』と考えている人もいるようだ。
でも落ち着いたセダンスタイルやウッドとレザーのインテリアは、先進性がウリのプリウスでは逆に実現できなかったはず。しかも走り出せば快適性の違いに、やっぱりレクサスは違うと実感する。なにしろ圧倒的に静か。
モーターだけ使う発進はもちろん、途中でエンジンが始動してもほぼ無音で、「4気筒ではなく6気筒じゃないの?」と思うほどだ。
しかも1.8リットルのプリウスに対し2.4リットルを積んだ効果は強力な加速に現れていて、いろんな場面で余裕を感じる。おまけに乗り心地がまろやか。しっとりした座り心地のシートのおかげもあるが、同じクラスにISというスポーティセダンがあるからこそ快適重視にセットできたのだろう。
でもハンドリングがダメダメというわけじゃなく、とくに高速コーナーは気持ちよく曲がれる。そして燃費はうまく走れば20km/リットル。プリウスへの乗り換えに二の足踏んでいたBMW『3シリーズ』やメルセデスベンツ『Cクラス』のユーザーにとっては、「これだよこれ!」的モデルじゃなかろうか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『パリ流 環境社会への挑戦』、『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)など。