ハッチバックでもスタイリッシュで格好いいクルマは作れる! 写真で見るよりも実物の方が数段見応えのある『MiTo』(ミト)は、見るからにホットなハッチだ。クルマなのに“小股の切れ上がった”という表現がぴったり。見れば見るほどに惹かれてしまう。
もちろん、走りも熱い。このクラスとしては珍しい、流行りのモード別走行パターン制御(DNA)搭載がウリだが、ノーマルモードでも十分にスポーティだ。それでいて、街を流しているときの走りの質感は上級モデル『159』あたりと同質。ナカミが同じはずのアバルト『グランデプント』よりも随分とリファインされた走りである。ダイナミックモードでは、トルクも増して途端にキレた走りをみせ、ドキッとするくらい愉快だが、普段乗りにはちょっとステアリングフィールが過敏すぎるか。
とにかく、素直に楽しいと思えるクルマである。新しい技術もDNA以外はこれといってないし、当世必須のエコテクもみえない。かといって、飛び級できるような優等生でもない。けれども、運転していて楽しい。テクニックなんて関係なく、踏んで回してまた踏んで、楽しい。そういうクルマ造りは、やっぱりイタリア車の得意とするところだ。
アバルト系も同じだが、少しオトナ。けれども、やんちゃさは十分残っている。そして、スタイリッシュ。2ペダルはもう少し先だし、右ハンドルだけだし、ボディカラーも少ないけれども、そんな不満を補ってあまりある、純粋な魅力に溢れている。元気になりたい人は、ぜひ一度、ハンドルを握ってみてください。
■5つ星評価
パッケージ:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
西川淳|自動車ライター
昭和40年生まれ、奈良県出身。スーパーカーをこよなく愛し、イタリア車に大いにはまりながらも、高性能ドイツ車を尊敬してやまず、新旧日本車もカワイクて仕方がない。三国同盟的浪花節クルマおたく。