三菱自動車および同社のモータースポーツ統括会社MMSPは、レプソル、バレオ、BFグッドリッチからのサポートを得て、チーム・レプソル三菱ラリーアートとして、2008年のクロスカントリーラリー活動を展開。2009年ダカールラリーの制覇を目的とした新型競技車「レーシングランサー」の開発も鋭意進めている。
6月初めに産声を上げたレーシングランサーは、6月中旬にスペイン、また6月下旬にモロッコでそれぞれ1週間ずつのテストを実施し、基本性能の確認と初期トラブルの洗い出しを終えており、現在は「パジェロ エボリューション」から得られたノウハウをフィードバックして改良を進めている。
三菱は、レーシングランサーの心臓部となるディーゼルターボエンジンを搭載した『パジェロエボリューション』を、ダカールシリーズ第1戦セントラルヨーロッパラリー、FIAクロスカントリーラリー・ワールドカップ第2戦トランスイベリコラリー、FIAクロスカントリーバハ・インターナショナルカップ第3戦バハ・スペインの3戦に出場させ、実戦データを収集した。
このうち2戦に出場した増岡浩は「トルク自体が強力で、そのトルクバンドも広いので、圧倒的にドライバビリティが優れている。悪路でのコントロール性、コーナー出口からの加速、直線でのトップスピード、どれをとってもガソリンエンジンを凌いでいて、(セッティングさえ煮詰まっていれば)今までよりも楽に速く走ることができる」と語っている。
また、トランスイベリコラリーでステアリングを握ったホアン・ナニ・ロマは、ガソリンエンジンと異なる特有のトルク特性にドライビングスタイルを適合させ、SSトップタイムを記録して一時ラリーをリードするなど、試験を目的とした暫定的なラリーカーでありながら、そのポテンシャルの片鱗を見せている。
今後は、9月にポルトガルで開催されるダカールシリーズ第2戦パックスラリーに、ステファン・ペテランセル、リュック・アルファン、ロマをパジェロ エボリューション(ガソリンエンジン)で出場させ、レーシングランサーにも踏襲するサスペンションやタイヤなど共通パーツの開発を進める。
レーシングランサーは、8月下旬 - 9月上旬、10月中旬 - 下旬の2回、モロッコで約2週間のテストを行い、それぞれ約4000kmの走り込みによって熟成を図る。
これらのテストを経たレーシングランサーは、10月30日 - 11月2日にポルトガルで開催されるFIAクロスカントリーバハ・インターナショナルカップ第6戦バハ・ポルトガルに、ペテランセルの手によりデビューする予定となっている。